ブルー・ストリーク

ブルー・ストリーク (1999)

『ブルー・ストリーク』は、1999年に公開されたアメリカ製のアクション・コメディ映画です。レス・メイフィールドが監督を務め、主演にはマーティン・ローレンスを迎えています。元凄腕の泥棒が、隠したはずの盗品を手に入れるため、大胆不敵にも警察署に潜入するというユニークな設定が物語の軸となっており、ドタバタ劇の中にスリル満点のアクションと心温まる人間ドラマが織り交ぜられています。

物語は、プロの宝石泥棒であるマイルズ・ローガンが、仲間たちと共に二千万ドルの価値を持つ巨大なダイヤモンド「ブルー・ストリーク」強奪に成功するところから始まります。しかし、喜びも束の間、仲間の一人であるディーコンの裏切りにより、信頼していた相棒のエディが殺害され、マイルズはダイヤモンドを手に単独で逃亡を強いられます。追跡から逃れるため、彼は建設途中のビルの換気口にダイヤモンドを隠し、直後に警察に逮捕されてしまいます。

二年後、刑期を終えて出所したマイルズが最初に向かったのは、ダイヤモンドを隠したあのビルでした。しかし、完成したはずのその場所は、なんとロサンゼルス市警の最新の警察署へと姿を変えていたのです。途方に暮れるマイルズですが、ダイヤモンドを諦めるわけにはいきません。彼は一計を案じ、大胆にも偽の刑事に成りすまして、ダイヤモンドを回収すべく警察署内部への潜入を試みます。

偽名「マローン」として、偽造した警察手帳を手に堂々と署内に足を踏み入れたマイルズ。本来ならすぐにダイヤモンドを見つけ出して立ち去るつもりでしたが、予期せぬトラブルに巻き込まれてしまいます。新米刑事のカールソンが不注意で逃がした容疑者を、偶然にもマイルズが捕まえてしまったのです。この手柄が署内で注目を集め、マイルズは盗難課の課長リッツォに見込まれ、なんとカールソンの指導役兼相棒として盗難課に配属されてしまいます。

一日も早くダイヤモンドを回収したいマイルズは、面倒な事態に陥ったことに焦ります。しかし、泥棒時代の知識と経験が思わぬ形で役立ちます。ホイール倉庫からの通報が偽装であることを見抜き、事件をあっという間に解決。その帰りに遭遇したコンビニ強盗では、かつての仲間タリーと再会。タリーが自分の正体をバラすことを恐れたマイルズは、宝石の分け前を約束して彼を大人しく逮捕させます。これらの功績により、マイルズは着任わずか一日で盗難課の主任刑事に昇進してしまうのです。

地位が上がるにつれて、ダイヤモンド回収の機会は遠のいていきます。ようやく隠し場所にたどり着いたマイルズは、ダイヤモンドが換気口を通る水流によって流されてしまったことに気づき、捜索を続けます。そんな折、北半球で最も危険とされる麻薬ディーラー、ラフロールが大量のヘロインを持ち込んだという情報が入り、署内は騒然となります。マイルズもカールソンやベテラン刑事のハードキャッスルと共に捜査に駆り出され、麻薬組織の運び屋をFBIよりも早く確保するという大殊勲を挙げ、署内どころかFBI捜査官からも一目置かれる存在となります。

多忙を極める合間を縫ってダイヤモンドを発見したマイルズですが、不運にも手から滑らせて、押収したドラッグの山の中に落としてしまいます。回収する間もなく、彼は麻薬組織のおとり捜査に駆り出され、ダイヤモンドが入ったドラッグの箱を手に取引現場へ向かう羽目になります。そこへ、因縁の相手ディーコンが現れ、ダイヤモンドを奪われてしまいます。さらに事態は急変し、マイルズたちはラフロールの前に突き出され、偽物と疑われたマイルズはディーコンを撃つよう命じられます。

緊迫した状況下、警察とFBIが一斉に突入し、激しい銃撃戦となります。マイルズはディーコンからダイヤモンドを取り戻そうとしますが、狙われたカールソンを救うことを優先し、その隙にディーコンはドラッグ輸送車で逃走します。マイルズは輸送車にしがみつき、パトカーの追跡を振り切ってメキシコ国境へ向かうディーコンを追い続けます。ハードキャッスルもマイルズを救うため果敢に輸送車に体当たりを仕掛けますが弾き飛ばされます。国境を越えれば捜査権限がないと諦めるグレイ捜査官を尻目に、マイルズは単身パトカーで国境を突破し、輸送車を横転させてディーコンを追い詰めます。

対峙するマイルズとディーコン。ディーコンはマイルズの正体を暴露すると脅しますが、マイルズはディーコンに投降を促します。メキシコ警察が迫る中、ディーコンは観念して銃を手放しますが、マイルズは相棒エディを殺された怒りから彼を殴りつけ、輸送車に手錠で繋いで立ち去ります。隠し持っていた銃でマイルズを撃とうとしたディーコンでしたが、それを見抜いていたマイルズに撃たれ、息絶えます。

全てを終え、マイルズは国境付近で待つカールソンとハードキャッスルの元に戻ります。腕を負傷したハードキャッスルも無事でした。正体がバレたと悟ったマイルズは、咄嗟にメキシコ警察の人間だと嘘をついて逃げようとしますが、二人は既に彼の正体に気づいていました。しかし、カールソンは彼が既にメキシコ側にいることを理由に逮捕しないと告げます。マイルズは二人と国境越しに友情の握手を交わし、手にしたダイヤモンドを輝かせながらメキシコへと走り去っていくのでした。

主な登場人物・キャスト

マイルズ・ローガン / マローン (演: マーティン・ローレンス): 凄腕の宝石泥棒。ダイヤを取り戻すため、警察署に偽刑事として潜入する。泥棒時代の経験が捜査で役立ち、図らずも昇進を重ねる。
カールソン (演: ルーク・ウィルソン): 盗難課の新米刑事でマイルズの相棒。頼りない面もあるが、マイルズから多くを学び成長していく。
ハードキャッスル (演: ウィリアム・フォーサイス): 盗難課のベテラン刑事。大胆な性格で、マイルズの腕を買い、共に捜査に当たる。
ディーコン (演: ピーター・グリーン): マイルズのかつての仲間で、エディ殺害と裏切りの張本人。冷酷な男。
タリー (演: デイヴ・シャペル): マイルズのかつての仲間。間抜けな小悪党だが、運転技術は高い。
リッツォ (演: グラハム・ベッケル): 盗難課の課長。マイルズの活躍を高く評価し、昇進させる。
ジャン・ラフロール (演: オレク・クルパ): 北半球で最も危険とされる麻薬ディーラー。
グレイ (演: スティーヴ・ランキン): FBI捜査官。当初は所轄を見下すが、マイルズの活躍を認め始める。

本作は、スリル満点の展開と爆笑必至のコメディ要素が見事に融合した一作です。マーティン・ローレンス演じるマイルズが、泥棒と刑事という二つの顔を使い分けながら、次々と難事件を解決していく様子が見どころ。また、警察内部でのコミカルなやり取りや、マイルズとカールソン、ハードキャッスルといった刑事たちとの間に芽生える友情も見逃せません。果たしてマイルズは無事にダイヤモンドを取り戻せるのか、そして彼の正体はバレてしまうのか、最後まで目が離せないエンターテイメント作品です。

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