ブレイディみかこ

ブレイディみかこ

ブレイディみかこ（Brady Mikako、1965年6月7日 - ）は、イギリス・ブライトン在住の保育士、ライター、コラムニスト、小説家として多岐にわたる分野で活躍しています。

生い立ちと経歴

福岡県福岡市に生まれたブレイディみかこは、幼少期を貧困の中で過ごしました。音楽、特にパンクミュージックに傾倒し、ジョン・ライドンの思想に大きな影響を受けました。1984年に福岡県立修猷館高等学校を卒業後、上京と渡英を経験。ロンドンやダブリンでの生活を経て一時帰国した後、1996年に再び渡英し、ブライトンに居を構えます。ロンドンの日系企業に数年間勤務した後、フリーランスとして翻訳や執筆活動を開始し、英国での滞在は20年を超えています。

多様性と社会への視点

英国で保育士資格を取得後、失業者や低所得者向け託児所での勤務、成人向けの算数教室のアシスタント経験を通じて、経済格差や教育格差を痛感します。Yahoo!ニュース個人での政治・社会時評執筆、託児所の閉鎖経験から反緊縮財政の考えを強く持つようになりました。

著書『子どもたちの階級闘争』では、イギリスの緊縮財政による経済格差と多様性を、託児所に集う親子の日常を通して描き出しています。また、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』では、自身の子育てをテーマに、人種、文化、階級など、様々な「多様性」の中で生きる難しさや成長を綴っています。

NHK「おはよう日本」のインタビューでは、多様性について以下のように語っています。

縦の階級の多様性も、多様性なんですよね。そこを忘れがちだけど、階級も多様性なんです。（中略）多様性は縦の軸も、横の軸も、多種多様な違いがあるところで生きていくと、クラゲがたくさんいる海を泳いでいるような感じで、すごくトリッキーで大変なのですが、その中で生きていく上で人間は成長すると思うし、人間はうまくバランスを取りながらできると思うんですね。（中略）よく考えたら、多様性は何も、外国人と一緒にとかなんとかじゃなくて、もう私たちは多様性のなかで生きている。

この言葉は、多様性を単なる人種や文化の違いとして捉えるのではなく、経済状況や社会的地位といった「縦の軸」における多様性も考慮する必要があることを示唆しています。また、多様性の中で生きることは困難を伴うものの、人間としての成長の機会にも繋がると述べています。

受賞歴と著作

2017年、『子どもたちの階級闘争』で第16回新潮ドキュメント賞を受賞。2019年、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で第73回毎日出版文化賞特別賞、第2回本屋大賞ノンフィクション本大賞などを受賞。

その他、多数の著書があり、主な作品として以下が挙げられます。

『花の命はノー・フューチャー』
『アナキズム・イン・ザ・UK』
『ザ・レフト──UK左翼セレブ列伝』
『ヨーロッパ・コーリング──地べたからのポリティカル・レポート』
『THIS IS JAPAN──英国保育士が見た日本』
『いまモリッシーを聴くということ』
『労働者階級の反乱──地べたから見た英国EU離脱』
『ブレグジット狂騒曲──英国在住保育士が見た「EU離脱」』
『女たちのテロル』
『ワイルドサイドをほっつき歩け──ハマータウンのおっさんたち』
『ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain』
『女たちのポリティクス──台頭する世界の女性政治家たち』
『他者の靴を履く──アナーキック・エンパシーのすすめ』
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』
『両手にトカレフ』
『地べたから考える 世界はそこだけじゃないから』

これらの著作を通して、ブレイディみかこは現代社会の様々な問題に鋭く切り込み、読者に多様な視点を提供し続けています。

現在の活動

現在もブライトンを拠点に、執筆活動や講演会などを精力的に行っています。社会問題に対する深い洞察と、それを平易な言葉で語るスタイルは、多くの人々から支持を集めています。

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