ブレードサーバ

ブレードサーバは、ブレードと呼ばれる薄型のサーバを複数搭載可能な筐体に格納したサーバコンピュータです。従来のラックマウント型サーバと比較して、より高密度な実装を可能とします。

概要

従来のラックマウント型サーバは、EIA規格に基づき、1U（1.75インチ）単位で製品化されてきました。しかし、大量のサーバを必要とする環境では、1Uや1Uハーフサイズのサーバでもスペースが課題となる場合があります。ブレードサーバは、この課題を解決するために開発されました。ブレード状のサーバを筐体に挿入することで、ラックマウント型よりも高密度にサーバを設置できます。

ブレードサーバの筐体には、電源や冷却装置、外部インターフェースなどが集約されており、各ブレードはこれらのリソースを共有します。これにより、狭いスペースに多数のCPUを集積でき、電力効率も向上します。また、配線の簡素化やツールレス保守の実現により、ハードウェア保守の面でも優位性があります。

当初は、Webサーバのように負荷分散や冗長性が求められる分野が主なターゲットでしたが、企業の業務システムにおけるデータセンターのコスト削減ニーズと合致し、高性能・高信頼性を備えた製品も登場するようになりました。さらに、コンピュータに必要な機能をモジュール化することで、計算モジュールとI/Oモジュールを冗長化し、耐障害性の向上やハードウェア仮想化機能のサポートを提供する機種も存在します。

高密度化のために、低消費電力CPUの採用やメモリ・ストレージ容量の制限など、ラックマウント型と比較して性能面で制約がある時期もありましたが、CPUの低消費電力化と多コア化、メモリやストレージの大容量化により、現在では十分な性能を備えた製品が主流です。

システム

ブレードサーバは、EIA規格の19インチラックに搭載可能な筐体に複数のブレードを格納します。各ブレードには、CPU、メモリ、I/Oバス、ストレージなど、サーバとして動作するために必要な機能が搭載されており、各ブレードが独立したサーバとして機能します。筐体には、LANやリムーバブルメディア、冗長化電源などの機能が統合されている場合もあります。メーカーが提供する一括管理機能を利用することで、複数サーバの一元的な管理が可能です。

ストレージに関しては、当初は2.5インチハードディスク1台または2台を搭載し、シングルまたはRAID1で運用されていましたが、現在ではRAID5やホットスワップに対応したモデルも登場しています。また、SANブートや仮想化に対応した機種も多く存在します。

ブレードサーバの搭載密度は、初期は7Uのスペースに14台のブレードが搭載できるものが主流でしたが、現在では3〜10Uに複数のブレードを収納する製品が登場しています。製品の特性も多様化しており、格納効率、信頼性、仮想化、省電力など、さまざまなニーズに対応できる製品が提供されています。

主なブレードサーバ開発企業およびブランド名（50音順）

DELL PowerEdge Mシリーズ
HPE BladeSystem
Lenovo BladeCenter
Cisco UCS
Supermicro
日立 BladeSymphony

関連項目

* サーバファーム

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