ブレーメンII

ブレーメンII

『ブレーメンII』は、川原泉による日本のSF漫画作品です。1998年に「PUTAO」で連載を開始し、その後「メロディ」に移籍、2004年まで連載されました。単行本は白泉社ジェッツコミックスから全5巻、白泉社文庫から全4巻が刊行されています。2005年には、第36回星雲賞コミック部門と第4回センス・オブ・ジェンダー賞特別賞を受賞しました。

概要

本作は、『カレーの王子さま』に収録されている『アンドロイドはミスティー・ブルーの夢を見るか?』の続編にあたります。前作に登場したキラ「イレブン・ナイン」船長、ナッシュ社長、コンピュータ人格のアンブレラが再登場し、物語を彩ります。

ストーリー

舞台は宇宙時代。少子化と宇宙進出により深刻な人手不足に見舞われた人類は、遺伝子工学とバイオテクノロジーを駆使し、「ブレーメン」と呼ばれる、知能を高められた働く動物たちを生み出しました。彼らは、危険な職場での人手不足を解消する存在として重宝されます。

大型輸送船「ブレーメンII」は、そんなブレーメンたちを乗組員として雇用した初の船。誤差が少なく優秀なキラ・ナルセ船長の指揮のもと、宇宙を股にかけて様々な星を巡る航海に出ます。しかし、行く先々で予想外のトラブルに巻き込まれてしまうのでした。

登場人物

主要人物

キラ・ナルセ: スカイ･アイ社所属の女性宇宙飛行士。「イレブン・ナイン」の異名を持つ、正確無比な腕前の持ち主。ブレーメンIIの船長として、ブレーメンたちと共に宇宙を旅します。
ナッシュ・ユーイング・レギオン: スカイ・アイ社社長。子供っぽい性格で、駄菓子が大好き。宇宙飛行士志望だったため、キラの船に密航して宇宙旅行を楽しんでいます。
アンブレラ: ブレーメンIIの主任コンピューター。傘の姿でモニターに現れます。高性能AIであり、連邦軍の機密データへのアクセス権を持っています。

ブレーメン (働く動物)

ダンテ: マウンテンゴリラ。ブレーメンIIの副船長を務めます。嘘をつくと白目になる癖があります。
シルビア: ウサギ。ブレーメンIIの航宙図士です。
李（リー）: ジャイアントパンダ。ブレーメンIIの船舶給仕長。船の食料全般を管理します。
アームストロング:ブレーメンIIの船医。カンガルー。
アベル:ブレーメンIIの図書館の館長。白ヤギ。黒ヤギのカインとはクローンの双子。
ヨシダ:ブレーメンIIの警備長。犬。
ミーシャ:ブレーメンIIの機関長。ヒグマ。
ピピン:ブレーメンIIの通信士。ブタ。

その他の登場人物

リトル・グレイ: 地球人類が出会った唯一の異星人。身長60cmほどの落書きのような人型で、常に「くつくつ」と笑っています。ブレーメンIIに居候することになります。
ティーター・モーゲンスターン博士: 生物工学者。ブレーメンを生み出した張本人で、彼らの幸せを願っています。
ドリアード23号: 人類史上最悪の違法薬物「ドリアード」の一体。木のような外見ですが、歩行能力と意思を持ちます。事件後、ブレーメンIIに搭乗します。
* ナッシュ・コピー: ナッシュ社長の影武者アンドロイド。超A級の性能を持ち、本人と見分けがつきません。

各話の主な登場人物

各話には、様々な背景を持つ個性的な人物が登場し、物語を盛り上げます。ジャック・王、エルンスト・ヘルツォーク、レオニード・レオノフ少佐、エリシャ・イングラム、ラウル・ダ・シルバ、ジゼル・ダ・シルバ、シャキール、アレン・ハークネス、トム、アリス、ジョレス・ロザノフ、呂星韶などが、各エピソードで重要な役割を果たします。

船舶としてのブレーメンIIと航路

ブレーメンIIは、全長1600mの大型貨物船で、スカイ・アイ社に所属しています。船内には公園、病院、食堂、図書館など、乗組員のための様々な施設が備わっています。航路は、ホール・イン・ワン星系からパロマ星系まで、23個の星々を巡る予定でしたが、実際には様々な星に立ち寄ることになります。

Intermissionいんたあみしよん

本編の間に挟まれる閑話として、チネチッタ星人が登場する。
チネチッタ星人の宇宙船をナッシュがかじってしまったり、青年将校がクーデターを起こしたり、カプリコ博士がリトル・グレイを踏みつぶしてしまったりと、コミカルなエピソードが展開されます。

『ブレーメンII』は、SF的な設定の中に、社会問題や人間ドラマを織り交ぜた、川原泉ならではの魅力的な作品です。個性豊かなキャラクターたちが織りなす、笑いあり、涙ありの物語をぜひお楽しみください。

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