ブロア・ヒースの戦い

ブロア・ヒースの戦い (1459年)

ブロア・ヒースの戦いは、薔薇戦争の初期における重要な戦いの一つです。1459年9月23日、スタッフォードシャーのブロア・ヒースで、ランカスター家とヨーク家の間で激しい戦いが繰り広げられました。

戦いの背景

1455年のセント・オールバーンズの戦いの後、両家の間には不安定な均衡が保たれていましたが、両陣営とも警戒を怠らず、徐々に兵力を増強していきました。マーガレット王妃は、支持者に銀の白鳥の飾りを配り、ヘンリー6世への忠誠を訴えました。一方、ヨーク派は、ソールズベリー伯リチャードが率いる軍勢が、ミドルハム城からラドロー城へ移動する計画を立てていました。マーガレット王妃はオードリー卿ジェームス・トゥチェットにソールズベリー伯の軍を阻止するよう命じました。

戦闘の経過

オードリー卿はブロア・ヒースでソールズベリー伯の軍を待ち伏せし、1459年9月23日の朝、生垣の後ろに陣を構えました。ヨーク派の偵察隊は、生垣の上に見えるランカスター家の旗を発見し、ソールズベリー伯に報告しました。ソールズベリー伯は、敵軍が自軍の倍以上の兵力であることを知り、弓の射程外に退避し、荷馬車で防御陣地を構築しました。

両軍は300メートルの距離で対峙し、その間には流れの速い小川が横たわっていました。ソールズベリー伯は、小川を渡っての攻撃が困難であることを承知しており、敵を挑発する作戦に出ました。彼は自軍の中央部を後退させ、ランカスター派に退却していると錯覚させました。これを見たランカスター派は、小川を渡って突撃を開始しましたが、ソールズベリー伯は反撃に転じ、渡河中の敵軍を捕捉しました。この奇策により、ランカスター派は大きな損害を受けました。

ランカスター派はその後も攻撃を繰り返しましたが、ヨーク派の反撃により、さらに多くの兵士が犠牲となりました。激戦の末、オードリー卿が戦死し、ランカスター派の指揮はダドリー卿ジョン・サットンに引き継がれました。しかし、戦況は好転せず、約500人のランカスター派兵士がヨーク派に寝返り、味方を攻撃し始めました。残されたランカスター派の抵抗は弱く、ヨーク派は敵を殲滅しました。

ソールズベリー伯は、ランカスター派の援軍を警戒し、追撃を中止し、ドライトンの丘で野営しました。彼は、ヨーク派がブロア・ヒースに留まっていると見せかけるために、修道士に大砲を定期的に発射させました。

この戦いで、少なくとも3,000人が死亡し、ランカスター派の死者は2,000人以上と推定されています。地元の伝説によると、小川は3日間血で染まったと言われています。

マーガレット王妃の逃避

伝説によれば、マーガレット王妃はマクルストーン村の教会から戦況を見守っていましたが、ランカスター家の敗北が決定的になると、鍛冶屋に馬の蹄鉄を裏返しに打ち付けさせ、逃走を隠蔽したと伝えられています。

戦いのその後

ブロア・ヒースには、オードリー卿の戦死を記念する十字架が建てられ、1765年に石の十字架に置き換えられました。この十字架は、現在もブロア・ヒースに立っています。オードリー卿の遺体は、ダービシャーのダーレイ・アビィ村に埋葬されました。ブロア・ヒースでは、毎年9月にこの戦いの記念日が行われています。

参考文献

* トレヴァー・ロイル著、陶山昇平訳『薔薇戦争新史』彩流社、2014年。

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