ブロス/やつらはときどき帰ってくる

ブロス/やつらはときどき帰ってくる

1991年にアメリカ合衆国で制作されたホラー映画で、原題は『Sometimes They Come Back』。モダンホラーの巨匠、スティーヴン・キングの短編小説『深夜勤務』に収められている同名作品を原作としている。もともとはテレビ映画として企画され、CBSテレビで放映されたが、日本では劇場公開されたという経緯を持つ。

物語の概要

物語の舞台は、コネチカット州の静かな小さな町。主人公のジミーは、この町の高校で教師として働いている。一見平穏な日常を送っている彼だが、心には幼い頃の壮絶な過去による深い傷を抱えている。

遡ること30数年前、まだ少年だったジミーの兄ウェインは、町の不良グループによって恐喝を受ける。リーダーのローソンと、その仲間2人。彼らはウェインを町はずれの鉄道トンネルへと呼び出した。しかし、その最中に猛スピードで突っ込んできた列車にはねられ、皮肉にもウェインと不良グループの4人全員が命を落としてしまうという悲劇が起こったのだ。この出来事はジミーの心に拭いがたい影を落とし続けた。

そして現代。ジミーが勤める高校に、一人の男子生徒が転入してくる。その顔を見た瞬間、ジミーは強い衝撃を受ける。その生徒は、かつて兄を死に追いやった不良グループのリーダー、ローソンに生き写しだったのだ。この不気味な転入生が現れたのを皮切りに、次々とローソンの仲間だった2人にそっくりな少年たちも転入してくる。

過去の亡霊か、それとも単なる偶然か。しかし、その疑問はすぐに現実の恐怖へと変わる。転入してきた3人の少年たちは、まるで過去の復讐を遂げるかのように、ジミーのクラスの生徒たちを標的にし、次々と非情な手段で殺害していく。それは、かつて彼らが引き起こした惨劇の再現であるかのようだった。生徒たちの間には動揺と恐怖が広がり、ジミーは教師として、そして過去の犠牲者の弟として、この異常な事態に立ち向かわざるを得なくなる。

過去のトラウマと現在の恐怖に苛まれながらも、ジミーは生徒たちを守るために、そしてこの悪夢を終わらせるために、ある決意を固める。それは、かつて命を落とした兄、ウェインの魂を呼び覚まし、悪霊と化した不良グループと最後の対決を挑むという、危険な賭けだった。壮絶な過去の因縁が、現代の学校を舞台に再び血塗られた戦いを引き起こす。

関連作品

本作の後には、その設定を受け継いだ関連作品が制作されている。

『ブロス リターンズ/やつらはふたたび帰ってくる』 (Sometimes They Come Back... Again, 1996年): テレビ映画として制作されたが、本作の直接的な続編ではない。設定や悪霊の性質についてさらに掘り下げられている。主人公としてジミーが再登場するものの、物語の展開は前作の結末を実質的に否定する形となり、彼も悪霊の犠牲となってしまう。

『アイス・ステーション』 (Sometimes They Come Back... for More): 前2作とは直接的な繋がりを持たないスピンオフ的な作品。舞台を南極に移し、人間が悪霊へと変貌させられる儀式の起源や、その背後にいる悪魔と人類の戦いをメインテーマとしている。

これらの関連作品は、元の短編小説や本作とは異なる物語を展開している点が特徴的である。本作は、過去の悲劇が時間と空間を超えて現代に蘇り、主人公を襲うという、キング作品らしい因果応報と超常的な恐怖を描いた一編と言えるだろう。

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