ブロンド・オン・ブロンド

『ブロンド・オン・ブロンド』は、ボブ・ディランが1966年に発表した7作目のスタジオ・アルバムであり、彼の音楽キャリアにおける重要な転換点を示す作品として知られています。このアルバムは、フォーク、ロック、ブルースなどの要素を融合させ、実験的なサウンドと内省的な歌詞で、音楽史に大きな影響を与えました。

レコーディングの変遷

1966年1月、ディランは長男の誕生後、ニューヨークのコロムビア・レコーディング・スタジオでレコーディングを開始しました。当初はマイク・ブルームフィールドやロビー・ロバートソンなど、様々なミュージシャンとセッションを行いましたが、ディランはレコーディングの進捗に不満を抱いていました。プロデューサーのボブ・ジョンストンは、セッションをナッシュビルに移すことを提案し、ディランはこれに同意しました。

2月、ナッシュビルのコロムビア・ミュージック・ロウ・スタジオでレコーディングは再開されました。ナッシュビルでのセッションでは、よりカントリー色の強いサウンドが追求され、多くの楽曲が完成しました。しかし、この間も、ディランは創造的な試行錯誤を繰り返しました。

リリースと特徴

1966年6月20日、『ブロンド・オン・ブロンド』は2枚組アルバムとしてリリースされました。当時はロックアルバムとしては異例の形式であり、その革新性が評価されました。アルバムには「雨の日の女」「アイ・ウォント・ユー」「女の如く」など、ディランの代表曲が多数収録されています。

また、アルバムの構成にも特徴があり、Side 4には「ローランドの悲しい目の乙女」一曲のみが収録されています。この曲は11分を超える大作であり、ロック音楽における実験的な試みの一つとされています。

『ブロンド・オン・ブロンド』は、ミックス違いや曲の長さなど、少なくとも11種類の異なるバージョンがリリースされており、その多様性がファンや研究家の間で議論の的となっています。

タイトルとジャケット

アルバムのタイトル『ブロンド・オン・ブロンド』の由来については様々な説がありますが、2004年にディランは、ブレヒトの音楽劇に影響を受けたと語りました。また、アルバムのジャケットは、ジェリー・シャッツバーグが撮影したモノクロの写真が使用されています。ジャケットの撮影場所は、グリニッチ・ヴィレッジの西端とされています。

収録曲

アルバムには以下の曲が収録されています。

Side 1
雨の日の女 - Rainy Day Women #12 & 35
プレッジング・マイ・タイム - Pledging My Time
ジョアンナのヴィジョン - Visions of Johanna
スーナー・オア・レイター - One of Us Must Know (Sooner or Later)

Side 2
アイ・ウォント・ユー - I Want You
メンフィス・ブルース・アゲイン - Stuck Inside of Mobile with the Memphis Blues Again
ヒョウ皮のふちなし帽 - Leopard-Skin Pill-Box Hat
女の如く - Just Like a Woman

Side 3
我が道を行く - Most Likely You Go Your Way and I'll Go Mine
時にはアキレスのように - Temporary Like Achilles
アブソリュートリー・スイート・マリー - Absolutely Sweet Marie
フォース・タイム・アラウンド - 4th Time Around
5人の信者達 - Obviously 5 Believers

Side 4
ローランドの悲しい目の乙女 - Sad Eyed Lady of the Lowlands

評価と影響

『ブロンド・オン・ブロンド』は、リリース当時から高い評価を受け、数々の音楽チャートで上位にランクインしました。また、グラミーの殿堂入りも果たしており、その音楽的な功績は広く認められています。

このアルバムは、フォークとロックの融合、実験的なサウンド、内省的な歌詞など、後のロック音楽に大きな影響を与えました。また、ディラン自身にとっても、キャリアにおける重要な作品であり、彼の音楽性を象徴する一枚として、今もなお多くの人に愛されています。

『ローリング・ストーン』誌が選んだ「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」では、度々上位にランクインしており、音楽史における重要なアルバムとしての地位を確立しています。

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