ブローアウトパネル

ブローアウトパネル（破裂板式安全装置）とは

ブローアウトパネル、または破裂板式安全装置は、高圧力や負圧が発生する機械装置や配管に設置される保安部品です。瞬時の圧力上昇に対応したり、圧力逃がし弁が故障した場合の安全対策として利用されます。

概要

破裂板は、化学反応容器や発電設備など、様々な機械装置に使用されています。形状は四角いものと円盤状のものがあり、四角いものは「ブローアウトパネル」「ブローオフパネル」、円盤状のものは「ラプチャーディスク」などと呼ばれますが、機能はほぼ同じです。この記事では、これらの総称として「破裂板」という表記も使用します。

圧力逃がし弁も同様の安全装置ですが、破裂板は比較的安価で、可動部がないため故障のリスクが少なく、より確実に動作します。そのため、単独で採用されたり、弁と併用されることがあります。圧力逃がし弁は繰り返し使用できますが、破裂板は一度使用すると交換が必要です。破裂板には、設定された圧力で確実に作動すること、耐食性、低保守性、内容物の滞留を防ぐことが求められます。

設定圧力や温度に達すると、破裂板は瞬時に作動し、過剰な圧力を外部へ開放します。これにより、装置の破裂による事故や損傷を防ぐことができます。材質は金属製の他にカーボン製などがあり、内容物に応じて内面をコーティングしたものも存在します。

原子力施設での使用

原子力施設では、ブローアウトパネルは原子炉建屋やタービン建屋の壁に設置された穴を塞ぐ板として使われています。これは、通常時に建屋の気密性を保ち、放射性物質を含む水蒸気が漏洩した場合でも、外部に漏れないように閉じ込める役割を果たします。しかし、建屋内の圧力が異常に増加または減少した場合は、建屋全体の爆発を防ぐために、瞬時に自動的に開き、圧力を逃がします。

この際、放射性物質が外部に漏洩する可能性がありますが、建屋が爆発するよりは被害を抑えられると考えられています。例えば、過酷事故のシナリオでは、「原子炉格納容器が破損すると、ガスとともに核反応生成物が原子炉建屋へ放出され、さらにブローアウトパネルが開放し、核反応生成物が環境へ放出される」とされています。

ただし、ブローアウトパネルは建屋内の水素を逃がすためのものではなく、むしろ通常の閉止状態では水素爆発を助長する可能性があります。2011年の福島第一原子力発電所事故では、1号機と3号機の水素爆発はブローアウトパネルがあっても防ぐことはできませんでした。しかし、3号機の爆発で2号機のブローアウトパネルが破損した結果、2号機は水素爆発を免れたという見方もあります。

故障の検知

柏崎刈羽原子力発電所では、2007年の新潟県中越沖地震でブローアウトパネルが脱落し、建屋の気密性が失われました。この反省から、ブローアウトパネルが開いた際に警報を発する回路が設けられるようになりました。

従来のブローアウトパネルの限界

福島第一原子力発電所事故での水素爆発を教訓に、従来のブローアウトパネルの設置場所や構造では不十分であることが明らかになりました。水素爆発の危険性が高まった場合、たとえ室内の圧力が低くても、操作によって開放し排気できるような構造にする必要がありました。5号機と6号機では、水素爆発を防ぐために原子炉建屋の上部に穴を開けて水素を逃がす緊急措置が取られました。

また、地震や他の号機の爆発で簡単に脱落してしまう設計強度の問題や、内部の放射性物質を濾過できないという機能上の限界も指摘されています。

戦車での使用

ブローオフパネルは、主に西側諸国の第三世代戦車の砲塔後部バスル内弾薬庫の天井部に設置されています。これは通常、車外から弾薬庫に砲弾を補充するための給弾ハッチですが、戦闘中に弾薬庫に被弾し誘爆した際には、乗員を守るために瞬時に吹き飛び、爆発力を上空に逃がします。これにより、戦車の損傷を最小限に抑え、乗員の生存率を向上させることができます。

まとめ

ブローアウトパネルは、様々な場面で安全を確保するために重要な役割を果たしています。しかし、その設計や機能にはまだ改善の余地があり、今後の技術開発が期待されます。

脚注

[参考資料]

ブローアウトパネル