プタキロサイド

プタキロサイド：ワラビに含まれる発がん性物質

プタキロサイドは、ワラビに含まれるノルセスキテルペン配糖体の一種であり、発がん性を持つ物質として知られています。国際がん研究機関(IARC)の発がん性リスク一覧ではグループ3に分類されており、発がん性に関する証拠は限定的です。

発見と特徴

1983年、名古屋大学の山田静之氏らの研究グループによって、家畜がワラビを大量に摂取して中毒死したことをきっかけに、ワラビからプタキロサイドが単離されました。その特徴的な構造として、シクロプロパン骨格を持つことが挙げられます。

発がんメカニズム

プタキロサイドは、体内で加水分解を受け、真の発がん性物質であるジエノン体へと変化します。このジエノン体は、シクロプロパン環が開裂してカチオンを生成し、DNAの塩基と結合することでDNA鎖を切断します。特に、DNA配列のAAAT部位が損傷を受けやすいことが分かっています。このDNA損傷が、発がんにつながると考えられています。

摂取と安全性

ワラビを食用とする際、灰汁抜きを行うことでプタキロサイドの大部分が除去されます。そのため、少量のワラビの摂取であれば、健康への影響は限定的と考えられています。しかしながら、大量に摂取したり、灰汁抜きが不十分な場合、健康へのリスクが高まる可能性があります。ワラビの摂取量や調理方法については、専門家の意見を参考に、安全に配慮することが重要です。

プタキロサイドの単離方法

プタキロサイドは、以下の手順でワラビから単離されます。

1. 乾燥粉末からの熱水抽出: ワラビの乾燥粉末を熱水で抽出し、プタキロサイドを含む抽出液を得ます。
2. 樹脂吸着と溶離: 抽出液をAmberlite XAD-2樹脂に吸着させ、メタノールで溶離します。この工程で、プタキロサイドを他の成分から分離します。
3. 溶媒抽出: メタノール溶出部を1-ブタノール（水飽和）に溶解し、水（1-ブタノール飽和）で抽出します。この工程で、プタキロサイドを含む水層と、その他の成分を含む1-ブタノール層に分離します。
4. 再抽出: 水層を1-ブタノール（水飽和）で再度抽出することで、プタキロサイドを濃縮します。
5. 樹脂精製: 得られた1-ブタノール溶液を、TOYOPEARL HW-40樹脂で処理し、精製します。
6. プタキロサイドの取得: 最終的に、残った水層からプタキロサイドが得られます。

まとめ

プタキロサイドは、ワラビに含まれる発がん性物質ですが、適切な調理方法（灰汁抜き）により、そのリスクを軽減することができます。しかしながら、過剰摂取や不適切な調理は危険であるため、ワラビの摂取には注意が必要です。より詳細な情報や、安全な摂取量については、専門機関や文献を参照することをお勧めします。

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