プファルツ選帝侯領

プファルツ選帝侯領（Kurfürstentum Pfalz）

プファルツ選帝侯領は、神聖ローマ帝国における重要な領土であり、その権力を持った選帝侯によって統治されました。この領域は歴史的に変遷を経ており、1789年には複数の都市が含まれていました。具体的には、フランケンタール、マンハイム、ハイデルベルク、アルツァイ、バッハラッハなどがあります。これらの地域は、現ドイツのラインラント＝プファルツ州とフランスのアルザス地方にも広がっていました。

歴史的背景

プファルツ選帝侯領の起源は、10世紀のロタリンギア宮中伯領に遡ります。この時期、エッツォーネン家がライン川の両側を支配し、重要な軍事的拠点として機能していました。しかし、ロタリンギアの影響力が衰えると、領域は他の家系への相続によって変化を遂げていきます。特に、フリードリヒ1世の異母弟であるコンラートが宮中伯として地位を確立し、ホーエンシュタウフェン家がライン地方を手中に収めました。

1195年には、シュタウフェン家がヴェルフ家を通じて宮中伯領を掌握し、そこからプファルツ選帝侯の地位に変遷していきます。特に、16世紀にはプファルツ系のヴィッテルスバッハ家が選帝侯に昇格し、ハイデルベルクを拠点にします。この時期、ルーテル派やカルヴァン派の影響を受け、宗教的にも重要な役割を果たしました。

三十年戦争の影響

1619年にはフリードリヒ5世がボヘミア王に推戴されますが、1620年の白山の戦いで敗北を喫し、プファルツ選帝侯の地位を失います。この時の彼の統治は「冬王」として知られるようになりました。その後、1648年にヴェストファーレン条約が結ばれ、選帝侯位はヴィッテルスバッハ家に戻りますが、フリードリヒ5世の息子カール1世ルートヴィヒが下プファルツを回復することに成功しました。

後期の歴史

1680年にカール2世が選帝侯に就任しますが、1685年に彼が嗣子なく死去したため、プファルツ＝ジンメルン家は断絶します。カトリック系のフィリップ・ヴィルヘルムがその地位を引き継ぎますが、彼の死後はヨハン・ヴィルヘルムが後を継ぎます。1720年には、カール3世フィリップがハイデルベルクからマンハイムへ宮廷を移し、さらなる歴史的変化がありました。

1742年にはカール3世が神聖ローマ皇帝位の支持を行い、選帝侯位はズルツバッハ系のカール・テオドールが相続しました。彼は後にバイエルン選帝侯位も獲得し、プファルツ地域は重要な地位を持つこととなりました。

帝国崩壊後

1806年の神聖ローマ帝国の消滅にともない、選帝侯はその地位を失います。その後、バーデンが大公国に昇格し、プファルツは新たにバイエルン王国の一部として統治されることとなります。この地域は第二次世界大戦後に新たにラインラント＝プファルツ州として知られるようになりました。

紋章

プファルツ選帝侯の紋章は、1176年にホーエンシュタウフェン家の古い紋章が採用され、その後の婚姻政策によって他の貴族の紋章に取り込まれていきます。神聖ローマ帝国における地位を象徴する宝珠も含まれ、選帝侯を表す重要なシンボルとなりました。

プファルツ選帝侯領は、宗教的、政治的、領土的に複雑な歴史を有し、多くの情勢を経て現代に至ります。その影響は未だに地域に残っていると言えるでしょう。

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