プライスレス 素敵な恋の見つけ方

『プライスレス　素敵な恋の見つけ方』：金と愛の間で揺れる二人の物語

2006年、フランスで製作されたロマンティック・コメディ映画『プライスレス　素敵な恋の見つけ方』（原題：Hors de prix）は、ピエール・サルヴァドーリ監督による作品です。オドレイ・トトゥ主演による軽妙な演出と、予測不能なストーリー展開が魅力の作品となっています。

あらすじ

物語の中心人物は、金持ち男性をターゲットに玉の輿を狙うイレーヌ。彼女は高級ホテルで働くジャンを、大富豪の息子と誤解し、一夜を共にします。しかし、ジャンの真の身分が明らかになったことで、イレーヌはあっさり彼を振ってしまうのです。

一方、仕事を失ったジャンは、イレーヌに執着し、彼女を追ってニースへと向かいます。そこで、イレーヌはジャンを利用し、高級レストランやブランド品、ホテル代を支払わせ、彼を突き放します。別れの際に、ジャンはイレーヌにたった1ユーロを渡し、10秒間見つめ合う、印象的なシーンが描かれています。

その後、経済的に困窮したジャンを、裕福な未亡人マドレーヌが助けます。マドレーヌはジャンをホテルに迎え入れ、彼にふさわしい服や食事を提供するなど、優しく献身的に接します。イレーヌは、新しいパトロンであるジルから贈られた高級品をジャンに見せつけますが、ジャンはマドレーヌから与えられたシャツ一枚と、話し相手としての関係しか築けていませんでした。

イレーヌはジャンから学んだ会話術をマドレーヌに使い、高価な腕時計をプレゼントさせます。しかし、マドレーヌは彼の行動に気づき、ジャンを叱責します。それでもジャンは、マドレーヌとの関係を断ち切る事ができません。

ある夜、イレーヌとジャンはスクーターで海辺に出かけ、束の間の自由な時間を楽しみます。しかし翌朝、イレーヌはジルと共に旅立ち、ジャンに別れを告げます。しかし、ジルは二人の別れのキスを目撃し、一人ホテルをチェックアウトしてしまいます。水着姿で途方に暮れたイレーヌは、ジャンに助けを求め、ジャンは時計を売ってイレーヌのホテル代やドレス代を工面するのです。さらにマドレーヌの機嫌も巧みに取り、窮地を脱します。

窮地を脱したイレーヌは、パーティーで再び裕福な男性を探し始めます。そして、ジャンに協力を依頼し、以前の婚約者ジャックへの復讐を企てます。イレーヌは、ジャンを大富豪だと偽ってジャックの愛人アニエスに近づかせます。しかし、マドレーヌは二人の関係に気づき、ジャンと決別します。

ジャックがジャンとアニエスが一緒にいるところを目撃したことで、イレーヌはジャックとよりを戻そうとしますが、ジャンとアニエスの関係が気になり、失敗に終わります。真実を知ったイレーヌは、ジャンのもとへ行き、アニエスにジャンの貧しい現実を伝え、彼女を立ち去らせます。そして、互いの真実の姿を知った二人は、有料道路の通行料金として1ユーロを支払い、新たな人生を歩み始めるのです。

見どころ

この映画の見どころは、お金と愛という相反するテーマを軽妙なタッチで描きながらも、登場人物たちの心の機微を丁寧に表現している点です。イレーヌとジャンの関係は、最初は金銭的な取引に基づいていましたが、様々な出来事を経て、真の愛情へと発展していきます。二人の関係の変化と、周囲の人物との絡み合いが、複雑でありながら、どこかユーモラスに描かれている点が、この映画の魅力となっています。また、フランスの美しい風景も、映画の雰囲気をさらに豊かにしています。

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