プライベートキングダム

『プライベートキングダム』は、漫画家・真鍋陽氏によって手掛けられた日本のウェブコミック作品です。漫画アプリ『GANMA!』にて、2014年 4月8日から連載が開始されました。本作は、人間の心に潜む負の感情や、それに端を発するプログラムといった独特な世界観を背景に、主人公の復讐劇を描くダークでシリアスな物語となっています。

あらすじ

物語の中心となるのは、かつて行われた人体実験「ブレイン計画X」の過酷な過程を生き延びた少年、「22番」です。彼は、実験によって自身の胸の内に「プライベートキングダム」と呼ばれる恐るべき殺人プログラムを宿しています。このプログラムは、エニアグラム理論における「孤独」という感情の核を基に誕生したものであり、22番の深い孤独と結びついています。22番は、自らの人生を歪め、深い絶望へと追いやったブレイン計画Xの関係者たちへの激しい復讐を誓い、プライベートキングダムと共に戦いの日々に身を投じます。

しかし、彼の中に宿る「孤独」の感情が増幅するにつれて、プライベートキングダムはより強力に、そして危険になります。プログラムが活性化するたびに、22番は自我を失いかねない「虚無」と呼ばれる状態に引きずり込まれそうになるのです。彼は「ジェフリー・メイソン」という偽名を用いて生活し、その存在を隠そうとしますが、過去や宿命からは逃れられません。時に「ジェフ」「孤独」あるいは実験体番号である「22番」と呼ばれながら、自身のアイデンティティと虚無の脅威に立ち向かい、復讐の道を突き進んでいきます。

主要な登場人物

本作には、主人公「22番」をはじめ、様々な感情に適合した能力者たちが登場します。彼らは自身の感情を核とした独自のプログラムを操り、それぞれの思惑や過去を抱えて物語に関わってきます。

22番: 本作の主人公。ブレイン計画Xの生き残りで、「孤独」の感情に適合しています。胸に殺人プログラム「プライベートキングダム」を宿し、計画関係者への復讐を目指します。偽名「ジェフリー・メイソン」を使い、後に本名「サリバン・ブラック」を思い出します。虚無に飲まれる危険を常に抱えています。

デハイギ・コフィン: 「恐怖」の感情に適合した能力者です。彼は「ラスピングゴースト」というプログラムを操り、自身が標的と定めた相手のみを冷徹に排除します。主人公である22番に偽名である「ジェフリー・メイソン」を与えた人物でもあります。冷静沈着な性格で、物語の中で22番と関わっていきます。

モニカ・ミュレーン: 「嫉妬」の感情に適合する少女です。かつては22番を敵視しており、彼が収容されていた病院を襲撃する行動に出ます。しかし、彼女自身も自身のプログラム「エドルブーケ」に操られ、虚無に囚われてしまいます。自らの命の危険も顧みずに助けようとしてくれた22番（ジェフ）の姿に心を動かされ、彼を仲間と認め、デハイギと共に3人で行動を共にするようになります。

ハンス・アルファン: かつて軍に身を置き、若くして大佐に昇進した青年です。部隊の名誉を守るために無謀な命令を下し、自身だけが生き残った過去を持ちます。この壮絶な経験から生まれた深い「憂鬱」の感情が核となり、「ストップビート」というプログラムを生み出します。彼はこのプログラムに支配される形で、自身の姉クロエを手にかけてしまうという悲劇に見舞われます。

* オーボレル・ルーサー: 「憎悪」の感情に適合した能力者です。彼は「憎悪」「猜疑心」「憤怒」「孤独」「恐怖」「嫉妬」「憂鬱」「悲観」「侮蔑」といった、エニアグラムに関連する感情を象徴する「適合者の目」と呼ばれる特殊なアイテムを集めるという野望を抱いていました。強力なプログラム「ドライドラング」を駆使して敵対者を排除していきます。他の適合者たちと共に共通の敵であるカインに挑みますが、カインが操る時間停止能力によって両目を潰され、命を落とします。

本作は、人間の負の感情が具現化したようなプログラムと、それに操られたり抗おうとしたりする登場人物たちのドラマが織りなされています。復讐という重いテーマを扱いながら、仲間との絆や自己の存在意義といった要素も描かれる物語です。

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