プラット・アンド・ホイットニー F119

F119エンジンの概要

F119は、アメリカ合衆国のプラット・アンド・ホイットニー社によって設計されたアフターバーナー付きのターボファンエンジンです。主にF-22 ラプターに搭載されており、その独自の構造と高い性能が航空機の能力を引き出します。

構成

F119エンジンは、いくつかの主要な部品で構成されています。まず、前方から順に次のようになります：

• - 低圧ファン部：3段
• - 高圧圧縮機部：6段
• - アニュラ型燃焼器部
• - 高圧タービン部：1段
• - 低圧タービン部：1段
• - 再燃装置部
• - 推力偏向ノズル部

これに加えて、ケーシングやFADEC（フル・デジタル・エンジン・コントロール）システムやAGB（アクセサリーギアボックス）などの補機類も含まれます。特筆すべきは、高圧タービンブレードの後ろにタービンノズルを省略し、低圧タービンブレードを逆向きに設置している点です。これにより、ファンを含む低圧部と高圧部が逆回転するユニークな構造となっています。

高圧タービン部には、ローター一体型の単結晶超合金製タービンブレードが採用され、電子ビーム蒸着法によりセラミックスの遮熱コーティングが施されています。この技術により、耐久性と性能が向上しています。F-22に搭載された際には、エンジンのFADECがフライトコントロールシステム（FCS）と連携し、推力偏向ノズルを含む様々な要素を自動的に調整することで、優れた操縦性を実現しています。

F119のノズル部分は、面積の拡大や縮小が可能で、上下に±20度の可動範囲を持つ2次元推力偏向式です。この特殊な構造により、飛行中の機動性が大幅に向上しています。

F-22への採用

F119は、1980年代後半から1990年代初頭にかけてアメリカ空軍の先進戦術戦闘機（ATF）計画の一環として開発されました。特に、YF120およびYF119という試作エンジンから改良され、最終的にF-22 ラプターに搭載されることとなりました。F-22では、F119-PW-100が2基装備され、ミリタリー推力が大きく、バイパス比が非常に小さいことが特徴です。このため、F-22は超音速巡航能力を持つことができるのです。

さらに、F119の派生型としてF135に改称され、F-35 ライトニングII用エンジンとして西側諸国で共同開発されています。

主要特性

F119の一般的な特性には以下のような数値があります：

• - 形式：ターボファン
• - 全長：16フィート11インチ（5.16m）
• - 直径：46インチ（1.168m）
• - 乾燥重量：3,900ポンド（1,770kg）

構成要素

F119の構成要素は以下の通りです：

• - 圧縮機：3段低圧・6段高圧軸流圧縮機
• - 燃焼器：アニュラ型燃焼器
• - タービン：1段高圧・1段低圧タービン
• - ノズル：二次元推力偏向ノズル

性能

F119は、アフターバーナー使用時に最大35,000ポンド（156 kN）の推力を発生し、推力重量比は7.95（9:1）を誇ります。この高い性能が、F-22の機動性や戦闘能力に寄与しているのです。

F119エンジンは、先進的な技術と設計に基づき、現代の戦闘機において重要な役割を果たしています。

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