プラット・アンド・ホイットニー F135

F135エンジンの概要

F135は、米国の航空エンジン製造会社プラット・アンド・ホイットニーが開発した戦闘機用のジェットエンジンです。このエンジンは、ロッキード・マーティンが製造するF-35 ライトニング IIに搭載されるもので、アフターバーナー装備のターボファンエンジンとして広く知られています。F-35には、通常離着陸型 (CTOL)、短距離離陸垂直着陸型 (STOVL)、および艦載型 (CATOBAR) の3つのバリエーションが用意されており、それぞれに対応する派生型エンジンが開発されています。

開発背景

プラット・アンド・ホイットニーは、F135開発にあたって、以前にF-22 ラプター用のF119エンジンを元にした技術を活用しました。F135はF119のコア技術を基にしながら、新たなコンポーネントを取り入れて設計されたもので、高圧タービンと低圧タービンの構成が特徴的です。特に、F135は低圧タービンが2段になっており、これによりより高効率な運用が可能となっています。

構造と性能

F135は、2軸式のターボファンエンジンであり、6段の高圧圧縮機と3段の低圧圧縮機を備えています。高圧圧縮機は、1段の高圧タービンによって駆動され、逆に低圧圧縮機は2段の低圧タービンによって動いています。これらは同軸反転形式を採用し、効率的な推進力を提供します。

整備の簡便さを考慮して設計されており、部品の点数は約40%削減され、すべての部品は一般的な工具で交換が可能です。この設計により、整備所での支援設備を50%減らすことができます。また、自己診断機能を搭載し、メンテナンスや部品管理を容易にしています。

試験と導入

F135を搭載した最初のF-35の試験飛行は2008年に行われ、その後、垂直飛行の成功も報告されました。初期生産されるF-35シリーズには、全機F135が搭載される予定です。

当初、GE・アビエーション社とロールス・ロイスが、F-35用の別のエンジンF136の開発を進めていましたが、2011年にそのプロジェクトは中止され、現在のところF-35のエンジンはF135に一本化されています。F135搭載のF-35Bは、2015年に初期作戦能力を獲得し、実際の任務に投入されることとなります。

各型式

F135には、いくつかの型式があり、以下の仕様が存在します。

• - F135-PW-100: F-35A用の通常離着陸型。
• - F135-PW-600: F-35B用のSTOVL型で、前方にリフトファンを装備し、垂直着陸に対応しています。
• - F135-PW-400: F-35C用の艦載型で、塩害対策が施されています。

スペック

F135の主な仕様

• - 全長: 5.59 m
• - 直径: 最大117 cm、ファンインレット109 cm
• - 重量: 1,701 kg
• - 圧縮機構: 3段軸流低圧圧縮機、6段軸流高圧圧縮機
• - タービン: 高圧1段、低圧2段
• - 最大推力: 43,000 lbf

このように、F135は技術的な進歩と効率的な運用を実現した航空機エンジンであり、現代の戦闘機において欠かせない存在となっています。

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