プラット・アンド・ホイットニー TF30

TF30エンジンの概要

TF30は、プラット・アンド・ホイットニーによって製造されている、航空機用のアフターバーナー付き低バイパスターボファンエンジンです。社内ではJTF10Aという形式が用いられています。このエンジンの開発は、亜音速機F6Dのために行われ、その時はアフターバーナーは装備されていませんでした。しかし、F6Dが開発中止となったことを受けて、アフターバーナーが追加され、世界初のアフターバーナー付きターボファンエンジンとなりました。これにより、超音速機への搭載が可能になりました。TF30は、F-111やF-14に搭載される一方で、A-7にはアフターバーナーを持たない派生型が使用されています。その初飛行は1964年であり、1986年まで生産が続けられました。

設計と開発の背景

TF30が登場する以前の超音速ジェット機は、アフターバーナーを備えたターボジェットエンジンが主流でした。ターボジェットエンジンは、吸入した空気を全てエンジンコアが処理するのに対し、ターボファンエンジンは一部の空気がコアを迂回する設計になっています。このため、ターボファンエンジンは燃焼効率がターボジェットエンジンよりも大幅に向上します。ただし、アフターバーナーを使用すると推力は増加しますが、燃料消費も同時に増加するという特性があります。

主な搭載機

F-111

F-111AおよびEタイプは、TF30-P-103（別名P-3）ターボファンを搭載しています。この戦闘機は、吸気口の設計に問題を抱えており、特に翼に乱された空気が影響を与えました。そのため、新たな派生機種ではより強力なエンジンに合わせた吸気口の改良が必要とされました。F-111EはTF30-P-3エンジンを搭載し、F-111DはTF30-P-9、F-111FはTF30-P-100を使用しています。

F-14A

F-14AはTF30-P-412およびTF30-P-412Aを搭載していますが、海軍の調達方針により、推力と重量比のバランスよりも機種間の互換性が優先される結果、十分な出力を発揮できませんでした。F-14Aの推力重量比はF-4に似ていますが、その設計により揚力が増加し、上昇率も改善されました。しかし、TF30は高い迎え角で出力を上げるとコンプレッサーストールが発生しやすく、空中戦で必要な性能を十分に発揮できないという問題が浮き彫りになりました。結果として、F-14Aは1980年代末までTF30を搭載して海軍で運用されました。

TF30の派生機種と仕様

TF30には多くの派生機種が存在し、その中にはXTF30-P-1、YTF30-P-1、TF30-P-1Aなどがあります。また、搭載された航空機としては、ミラージュF2やF-14、F-111などが有名です。

仕様 (TF30-P-100)

• - 形式: ターボファン
• - 全長: 241.7インチ
• - 直径: 48.9インチ
• - 乾燥重量: 3,985ポンド
• - 圧縮機: 2軸軸流式、3段のファン、6段の低圧圧縮機、7段の高圧圧縮機
• - 燃焼室: アンニュラー式
• - 推力:

- ドライ出力: 14,560ポンド
- アフターバーナー使用時: 25,100ポンド

• - 全圧縮比: 19.8
• - バイパス比: 0.878:1
• - タービン入口温度: 2150°F (1176°C)
• - 推力重量比: 6.30 (A/B使用時)

TF30は、その革新性によって航空機設計に多大な影響を与え、さまざまな戦闘機に採用されました。その結果、軍用航空の進化に寄与しています。

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