プラット・アンド・ホイットニー・カナダ JT15D

JT15Dターボファンエンジンの概要

プラット・アンド・ホイットニー・カナダが製造するJT15Dは、コンパクトなターボファンエンジンで、特にビジネスジェット機に広く採用されています。このエンジンは1971年に導入され、初期のモデルは約2,200リーブ（lbf）の推力を発揮しましたが、その後の改良を経て、最新のモデルでは3,000リーブ（13 kN）以上の推力を実現しました。JT15Dシリーズは、70年代以来6,000台以上が出荷され、3000万時間を超える稼働実績を誇ります。

技術的特性

JT15Dの設計には多様な技術的要素が含まれており、特に高圧圧縮機として遠心式圧縮機を採用しています。これは、当時の新たなターボファンエンジン設計においては珍しい選択肢でした。遠心式圧縮機は、初期のジェットエンジンでは一般的でしたが、多段化が難しく、設置面積が大きくなるため、次第に軸流式圧縮機に置き換わっていきました。ターボファンエンジンでは、主に冷却された空気がジェット推力を生み出すため、高圧の一段遠心式圧縮機が持つ利点は重要です。

特に、JT15Dエンジンは、ファンが供給する空気の70％をバイパスダクトに導き、残りの30％をエンジンコアに送ります。この流入口から入った空気は、遠心圧縮のステージでさらなる圧縮を受けた後、反流環状燃焼室で燃焼します。燃焼により生成された高温のガスは、高圧タービンを駆動し、その後、低圧タービンを駆動します。

モデルの歴史

最初のモデルであるJT15D-1は、セスナ サイテーション Iの動力装置として導入され、1972年から1,417台が出荷されました。その後、推力が2,500リーブ（11 kN）に向上したJT15D-4が登場し、セスナ サイテーション IIをはじめ、いくつかの航空機で使用されました。このモデルは最終的に2,195台が出荷されました。

1983年にはJT15D-5が認定され、これはビーチジェット400やセスナ T-47Aに搭載されていました。また、マイナーモデルもいくつかラインナップされ、-5Aはセスナ サイテーション Vに、-5BはT-1A ジェイホークに使用されました。

さらに1993年にはJT15D-5Dが登場し、推力を3,045リーブ（13.54 kN）に向上させました。このモデルはセスナ UC-35Aやセスナ サイテーション・ウルトラに使用されています。最近では、当初の-5モデルが新たにVisionAire Vantage向けに選定されたそうですが、生産には至っていないようです。

仕様（JT15D-5D）

• - エンジン形式: ターボファン
• - 全長: 60.5 インチ
• - 直径: 27 インチ
• - 乾燥重量: 約500ポンド
• - 圧縮機: 低圧は軸流式、高圧は遠心式
• - 推力: 3,050 リーブ
• - 推力重量比: 約5

特にビジネスジェットや小型機にフォーカスした設計は、JT15Dを多くの航空機に適合させることを可能にしています。今後もこのエンジンがさらに発展し続けることが期待されています。

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