プラン9・フロム・アウタースペース

プラン9・フロム・アウタースペース：史上最低？の傑作？

1959年、エド・ウッド監督によって世に放たれたSFホラー映画『プラン9・フロム・アウタースペース』。上映時間79分と短尺ながら、その独特の世界観と、低予算ながらも全力で作り上げたであろうと想像できる演出は、多くの映画ファンを魅了し続けています。深夜放送での繰り返し放映や、カルト的な人気を得て、やがて「史上最低の映画」として『ゴールデン・ターキー・アワード』で紹介され、皮肉にもその名を不動のものとしました。

不可解な出来事の連鎖

物語は、クリズウェルの不穏な予言から始まります。未来への警告を発する彼の言葉は、やがて現実となるのです。アメリカン・フライト812のパイロット、ジェフ・トレントは、飛行中に突如として現れた円盤を目撃します。一方、老人ベラ・ルゴシの妻の葬儀後、墓掘り人夫たちは奇妙な音を聞き、死んだはずの女性と遭遇します。その後、老人も事故死し、地下墓地に埋葬された彼の葬儀の帰りには、参列客が墓掘り人夫たちの死体を見つけます。警察のダニエル・クレイ警視もまた、死者の襲撃を受ける…と、不可解な出来事が連鎖していくのです。

「プラン9」とは？

映画タイトルにもなっている「プラン9」。これは宇宙人が地球侵略のために企てた作戦の名称であり、通し番号ではありません。宇宙人たちは、様々な手段を用いて地球征服を目指しますが、その手法は、低予算映画ならではの創意工夫と、どこか滑稽さを感じさせる演出で描かれています。

個性豊かなキャストとスタッフ

この映画には、個性豊かなキャストが名を連ねています。主人公ジェフ・トレントを演じるのはグレゴリー・ウォルコット、彼の妻ポーラにはモナ・マッキノン。そして、ベラ・ルゴシの遺作としても知られています。ベラ・ルゴシは、ホラー映画のスターとして知られており、彼の出演は、この映画に独特の雰囲気を与えています。その他のキャストも、それぞれ強烈な個性と存在感を放ち、物語に彩りを添えています。

監督・脚本・製作を務めたのは、エド・ウッド本人。彼の徹底したこだわりと、限られた予算の中で最大限の表現を追求した姿勢は、映画制作の裏側を知る上で貴重な資料ともなっています。

製作の舞台裏：信仰と低予算

当初『Grave Robbers from Outer Space（外宇宙からの墓荒らし）』というタイトルであった本作。製作費の捻出のため、エド・ウッドはキャスト全員にバプテスト教会への帰依を促したという逸話も残っています。洗礼の儀式では、プロレスラー出身のトー・ジョンソンの巨体が浸礼用の桶に入りきらなかったため、プールで洗礼が行われたというエピソードは、映画の低予算ながらも熱意あふれる製作過程を物語っています。また、ベラ・ルゴシは製作開始から2週間後に亡くなっており、本作が彼の遺作となりました。

評価とその後

「史上最低の映画」という評価にもかかわらず、『プラン9・フロム・アウタースペース』は、IMDbの最低100作品リストには入っていません。ティム・バートン監督による映画『エド・ウッド』で再評価され、カルト的な人気を不動のものとしました。映画『エド・ウッド』でベラ・ルゴシを演じたマーティン・ランドーは、「ベラ・ルゴシのジャングル騒動に比べれば、エド・ウッドの作品は『風と共に去りぬ』に見える」とコメントしています。

モノクロ作品であった本作ですが、近年カラーライズ版も制作され、より多くの視聴者に鑑賞されています。低予算、奇抜な演出、そして個性豊かなキャスト…『プラン9・フロム・アウタースペース』は、映画史に残る問題作であり、同時に、多くの映画ファンを魅了する、唯一無二の作品と言えるでしょう。その独特の世界観に触れて、あなた自身の評価を下してみてはいかがでしょうか？

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