プリシラ (2023年の映画)

『プリシラ』（原題：Priscilla）は、2023年に公開されたアメリカ合衆国の伝記映画です。この作品は、伝説的なロックンロールスター、エルヴィス・プレスリーと彼の妻であるプリシラ・プレスリーの、出会いから結婚、そして離婚に至るまでの道のりを、プリシラ自身が1985年に出版した自伝『私のエルヴィス』を原作として描いています。監督と脚本は、独特の映像美と繊細な心理描写で知られるソフィア・コッポラが担当しました。

物語は、1950年代の終わりに西ドイツで、当時14歳だったプリシラが、アメリカのスーパースター、エルヴィス・プレスリーと出会うところから始まります。二人は、それぞれの孤独を共有し、すぐに惹かれ合います。エルヴィスの兵役期間が終わり、彼が西ドイツを離れた後も、二人の関係は続き、やがてプリシラはエルヴィスのメンフィスの邸宅で生活を共にすることになります。夢のような生活の中で、プリシラは結婚、そして妊娠という人生の大きな転機を迎えますが、その一方で、彼女の中で別の感情が芽生え始めます。華やかな生活の裏側で、プリシラは徐々に自分自身のアイデンティティを見つめ直していくことになります。

主人公プリシラ・プレスリーを演じたのは、ケイリー・スピーニーです。彼女は、14歳でエルヴィスと出会い、恋に落ち、結婚、そして彼の不安定な生活に翻弄されながらも、献身的にエルヴィスを支えようとする女性の姿を繊細に演じました。その演技は高く評価され、第80回ヴェネツィア国際映画祭で女優賞を受賞しました。エルヴィス・プレスリー役はジェイコブ・エロルディが演じ、ロックンロールの王としてのカリスマ性と、プライベートでの脆さを持つエルヴィスを見事に表現しました。その他、アン・ボーリュー役をダグマーラ・ドミンスク、キャプテン・ボーリュー役をアリ・コーエン、ヴァーノン・プレスリー役をティム・ポスト、アルバータ役をオリヴィア・バレットが演じています。

この映画は、単に有名人の恋愛を描くのではなく、プリシラという一人の女性が、若くして大スターと結婚し、その中で自分自身を見つけていく過程を、女性監督ならではの視点で描いている点が特徴です。プリシラの目を通して、華やかなスターの世界と、その裏にある孤独や葛藤、そして自己発見の物語が展開されます。

映画公式サイトや、allcinema、KINENOTE、IMDbなどでも詳細な情報を確認できます。

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