プリムローズ国際ヴィオラコンクール

プリムローズ国際ヴィオラコンクール

プリムローズ国際ヴィオラコンクール（Primrose International Viola Competition）は、ヴィオラという楽器に特化した、世界的に見ても珍しい国際音楽コンクールです。このコンクールは、20世紀を代表するヴィオラの巨匠、ウィリアム・プリムローズ（William Primrose, 1904-1982）の功績を称える目的で創設され、その名が冠されています。1986年に第一回が開催されて以来、ヴィオラ独奏者にとって重要なキャリア形成の機会を提供し続けています。

概要と歴史

本コンクールは、アメリカ・ヴィオラ協会（American Viola Society）によって主催されています。創設当初は、ヴィオラという楽器とその音楽の普及を目指す協会の意向により、開催地が特定の場所ではなく、アメリカ国内を巡回する形で実施されていました。これにより、各地のヴィオラ愛好家や学生に触れる機会を提供していたと考えられます。

コンクールの前身は「プリムローズ記念奨学金コンクール（Primrose Memorial Scholarship Competition）」と呼ばれていました。この名称での開催が10回を数えた後、現在の「プリムローズ国際ヴィオラコンクール」という名称に改められ、回次も新たに第一回として数え直される、いわゆるリナンバリングが行われました。この変更は、コンクールの規模や国際的な認知度の向上に伴って行われたものと推測されます。

近年は、アメリカ合衆国カリフォルニア州を主要な開催地としています。また、メインの部門に加えて、若い才能の育成を目的としたジュニア部門も併設されており、幅広い年代のヴィオリストに門戸が開かれています。

次回の開催は、2027年に予定されています。世界中から集まる若手ヴィオリストたちが、この舞台でその技量を競い合います。

過去の主な優勝者

プリムローズ国際ヴィオラコンクールは、これまでに数々の優れたヴィオリストを輩出してきました。以下に、近年の優勝者を含めた一部を紹介します。

2024年 エマド・ゾルファガーリ (Emad Zolfaghari)
2021年 ナタリー・ローラン (Natalie Loughran)
2018年 イ・ヘス (Hae-Sue Lee)
2015年 ジェン・ジャンボ (Zhanbo Zheng)
2011年 小笹 彩音 (Ayane Kozasa)
2008年 ディミトリ・ミュラー (Dimitri Murrath)
2005年 ジェニファー・スタム (Jennifer Stumm)
2003年 チェ・イェン（ブライアン）・チェン (Che-Yen (Brian) Chen)
2001年 アントワーヌ・タメスティ (Antoine Tamestit)
1999年 ローレンス・パワー (Lawrence Power)
1997年 クリスティーナ・カステッリ (Christina Castelli)
1995年 キャサリン・バズラク (Catherine Basrak)
1993年 ノクトゥラ・ングウェニャマ (Nokuthula Ngwenyama)
1991年 カーステン・ドクター (Kirsten Docter)
1989年 ダニエル・フォスター (Daniel Foster)
1987年 リン・リッチバーグ (Lynne Richburg)
* 1979年 ジェラルディン・ウォルサー (Geraldine Walther)

このコンクールでの入賞や優勝は、その後の国際的な活動の重要な足がかりとなることが多いです。

ヴィオラという楽器の魅力を世界に発信し、未来を担うヴィオリストを支援するプリムローズ国際ヴィオラコンクールは、ヴィオラ界にとって欠かせない存在となっています。

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