プリンス (戦列艦・1788年)

プリンス (HMS Prince) の詳細

プリンス (HMS Prince) は、イギリス海軍において歴史的な役割を果たした98門の2等戦列艦です。この艦船は、特に海戦といえばトラファルガーの海戦に参加したことで有名です。プリンスは、イギリス海軍の艦艇としては4代目にあたります。

建造の背景

プリンスの建造が始まったのは1779年の12月9日で、ウリッジ工廠での発注が行われました。艦の建造は、最初にジョン・ジェンナーが1782年12月まで担当し、次にヘンリー・ピークが1785年11月まで担当しました。その後も幾人かの指揮官が交代しながら、最終的に1788年7月4日に進水しました。艤装作業が完了したのは同年の7月25日で、建造費は55,041ポンド9シリング11ペンスにのぼりました。この費用には装備や帆の仕立てにかかる金額も含まれています。

また、1788年の秋には、プリマスで船底に銅板を貼る作業も行われました。これは、船体の保護や耐久性の向上に寄与する目的がありました。

艦歴と作戦の背景

プリンスは、艦歴の中で参加してきた作戦は少数であり、これには艦船の鈍重さや帆走性の低さが一因とも考えられています。1790年7月には、ジョサイア・ロジャーズ艦長の指揮のもとジョン・ジャーヴィス提督の旗艦になりましたが、その後、不運にも同年12月には予備役としてプリマスに係留されてしまいます。

しかし、1793年2月には復帰し、再度ジョージ・ボウヤー提督の旗艦として任務に就きましたが、1794年の1月には再び任務から外されました。フランス革命戦争の影響を受けているこの時期、プリンスは即時に戦闘任務にはつかず、1794年4月にはポーツマスで予備役に戻されました。また1796年には、船体が延長される改修工事も行われています。

トラファルガーの海戦

1805年、リチャード・グリンドール艦長の指揮のもと、プリンスは海峡艦隊に配備され、同年10月にトラファルガーの海戦に参加しました。この海戦では、プリンスは2～3マイルの距離を2時間かけて移動し、戦闘に突入しました。戦場に到着した時には、既に海戦の大勢は決していたものの、プリンスはスペイン艦隊旗艦プリンシペ・デ・アストゥリアスやフランス艦アシレに砲撃を行いました。

アシレは、出火後に火薬に誘爆し沈没しました。プリンスは近隣のイギリス艦と連携し、生存者の救助活動を行いました。奇跡的にプリンス自身は攻撃を受けず、戦闘後の嵐にも耐えました。しかし、その嵐によって戦闘とともに損傷した艦船を牽引できる貴重な存在となったのです。

解体とその後

最終的に、プリンスはポーツマスで係留され続け、1837年に解体されることとなりました。彼女の艦歴は短いものでしたが、その活動やトラファルガーの海戦での役割は、イギリス海軍の伝説的な一部として今も記憶されています。プリンスは海軍艦艇の中でも印象的な存在であり、かつての艦隊の名を冠した艦船として、時代を超えて語られる存在なのです。

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