プルーフ・オブ・ステーク

プルーフ・オブ・ステーク（PoS）とは

プルーフ・オブ・ステーク（Proof-of-stake、PoS）は、暗号通貨のブロックチェーンネットワークにおいて、分散型コンセンサスを達成するためのアルゴリズムの一つです。PoSベースの暗号通貨では、次のブロックを生成する担当者が、ランダムな選択と、その保有資産（ステーク）やコインの保有期間（コイン年齢）などを組み合わせた要素に基づいて決定されます。

これは、プルーフ・オブ・ワーク（PoW）ベースの暗号通貨（例：ビットコイン）とは対照的です。PoWでは、複雑な暗号パズルを解くことでトランザクションの検証と新しいブロックの生成を行い、その作業を行った参加者に報酬が与えられます。

ブロック選択方法

PoSでは、次の有効なブロックを決定するための様々な方法が考案されています。

1. ランダム化:
- Cardano（ADA）、Nxt、BlackCoinなどが採用。ステークの規模とハッシュ値を組み合わせた計算式で、次のブロック生成者を予測します。各ノードは、次にどのウォレットがブロックを生成する権利を得るかをある程度予測できます。

2. コイン年齢:
- Peercoinが最初に採用。コインが使用されずに保有された期間（コイン年齢）とランダム化を組み合わせた方法です。一定期間（例えば30日間）使用されていないコインはブロック生成の候補となり、保有期間が長く、量が多いほど、次のブロックを生成する可能性が高まります。ただし、一度ブロック生成に使用されると、コイン年齢はリセットされ、再びブロック生成に使用するには一定期間待つ必要があります。また、コイン年齢には上限が設けられており、特定のコインがブロックチェーンを独占することを防ぎます。
- Orbsも同様のプロセスを採用していますが、ブロックリーダーだけでなく、委員会全体を選出します。さらに、各ノードの保有トークン数だけでなく、ノード間の評価も考慮します。

PoSの利点

• - エネルギー効率: PoSは、PoWと比較してエネルギー消費量が非常に少なく、数千倍効率的であるとされています。PoWでは、大量の電力を消費しますが、PoSではそのような必要がありません。

• - インセンティブ: PoSでは、ブロック生成者は常にコインを保有しているため、そのコインの価値を守るというインセンティブが働きます。PoWでは、マイナーが必ずしもマイニングしたコインを保有しているわけではないため、利益を最大化する行動に偏る可能性があります。

PoSへの批判と対策

• - Nothing at Stake問題:

- PoSでは、複数のブロックチェーン履歴に投票してもペナルティがないため、コンセンサスが阻害される可能性があります。PoWとは異なり、複数のチェーンで作業するコストが低いため、二重支出が容易に行われる可能性があります。

- この問題に対する対策として、以下のような方法が提案されています。
- Cardano（ADA）: Ouroboros Genesisプロトコルでは、新しいチェーン選択ルールを導入し、新規またはオフラインの関係者が安全にブロックチェーンに参加できるようにしています。
- イーサリアム: スラッシャープロトコルを提案しましたが、採用には至りませんでした。現在、イーサリアムはPoWの「Ethash」アルゴリズムを使用していますが、将来的にはPoSの「CASPER」に移行する予定です。
- ピアコイン: 開発者が管理するチェックポイントを使用し、ブロックチェーンの再編成を制限しています。ただし、これは中央集権的な側面があります。
- Nxt: ブロックチェーンの再編成を最後の720ブロックに制限しています。
- ハイブリッド方式: 「プルーフ・オブ・バーン」と「プルーフ・オブ・ステーク」を組み合わせることで、セキュリティを高める方法もあります。
- Decred: PoWとPoSを組み合わせたハイブリッド方式を採用しています。

- 統計シミュレーションでは、複数のチェーンでの同時生成は可能ですが、PoS支持者はこれらの攻撃シナリオは理論的なものに過ぎないと考えています。

まとめ

プルーフ・オブ・ステークは、プルーフ・オブ・ワークに代わる効率的なコンセンサスアルゴリズムとして、多くの暗号通貨で採用されています。いくつかの課題も指摘されていますが、それらに対する解決策も提案されており、今後の技術発展が期待されます。

関連リンク:

• - プルーフ・オブ・ワークシステム
• - ビットコイン

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