プレクムルスカ・ギバニツァ

プレクムルスカ・ギバニツァ：スロベニアの伝統的な多層ケーキ

プレクムルスカ・ギバニツァは、スロベニア北東部に位置するプレクムリエ地方と、その隣接地域であるクロアチアのメジムリエ地方で生まれた、何層にも重なったユニークなケーキです。プレクムリエ地方の特産品として知られていますが、スロベニア全土で愛される伝統的なスイーツとなっています。

材料

プレクムルスカ・ギバニツァの特徴は、その多層構造と、地域特産のバラエティ豊かな食材を使用している点です。土台部分には薄力粉、上部の生地には強力粉が使われます。そして、その間には、スクータ（カッテージチーズ）、ケシの実、クルミ、リンゴ、レーズンといった4種類のフィリングが何層にも重ねられます。これらの材料は、プレクムリエ地方の豊かな農業生産を象徴していると言えるでしょう。

名称の由来

プレクムルスカ・ギバニツァという名前は、この地域の方言であるプレクムルスカ方言に由来します。「ギューバ（güba）」という言葉は、「重なる」という意味を持ち、このケーキの層状の構造を的確に表しています。

歴史

プレクムルスカ・ギバニツァは、何世紀にもわたり、プレクムリエ地方やメジムリエ地方の人々の生活に深く根付いてきました。特に、お祭りや儀式の際には欠かせない存在として、人々に親しまれてきました。その正確な起源は不明ですが、古い記録を紐解くと、現在のレシピは長い時間をかけて洗練されてきたことがわかります。

1828年にヨジェフ・コシッチが記した文献には、ギバニツァは「生地を薄く伸ばし、その上にすりおろしたカブ、キャベツ、またはカッテージチーズを乗せ、さらに生地で覆う」という工程を10回ほど繰り返して作るものだと記述されています。この頃のギバニツァは、現在のように甘くはなく、食事の一部として食べられていたようです。

その後、蜂蜜が使われるようになり、ケーキとして甘さが加えられました。特に、ハンガリー語圏の影響を受けた地域で、甘いギバニツァが広まったとされています。

現在

プレクムルスカ・ギバニツァは、その美味しさと文化的価値が認められ、2006年のヨーロッパの日には、当時の議長国であったオーストリアによって、スロベニアを代表する菓子として選ばれました。さらに、2010年3月には、ヨーロッパ連合の原産地名称保護制度（TSG）にも登録され、その品質と伝統が保護されています。

その他

なお、セルビアでは、同じ「ギバニツァ」という名前で、異なる伝統料理が存在します。これは、地域によって食文化が異なることを示しており、ギバニツァという名前が、異なる料理を表す興味深い事例と言えるでしょう。

外部リンク

Prekmurska Gibanica with photo（スロヴェニア語）

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