プレスディフェンス

プレスディフェンス：積極的な守備戦術

プレスディフェンスは、サッカーやバスケットボールなどの球技において、相手に積極的にプレッシャーをかけ、ボールを奪うことを目的とした守備戦術です。「プレス」または「プレッシング」とも呼ばれ、相手を自陣に押し込み、攻撃の自由を制限します。

プレスディフェンスの概要

プレスディフェンスは、単にゴールを守るだけでなく、積極的にボールを奪い、攻撃に繋げることを目指します。相手に素早く接近し、パスコースを限定したり、ボールを奪ったりすることで、攻撃の起点を作らせません。特に、相手ゴールに近い位置でボールを奪うことができれば、素早いカウンター攻撃に繋げることが可能です。

しかし、プレスディフェンスはリスクも伴います。守備ラインが前がかりになるため、背後のスペースが広がり、相手に突破される危険性があります。そのため、組織的な連携と、的確なカバーリングが不可欠です。また、運動量も多く必要とするため、体力的な負担も大きくなります。

サッカーにおけるプレッシング

サッカーにおいてプレッシングは、複数の選手でボール保持者を囲い込み、ボールを奪う戦術としてよく知られています。この戦術を成功させるには、選手間の距離をコンパクトに保ち、バランスの取れた配置を維持することが重要です。

ゾーンディフェンスと組み合わせることで、プレッシングの効果をさらに高めることができます。ゾーンディフェンスは、プレスによって生まれたスペースをカバーし、守備の安定性を保つ役割を果たします。また、ディフェンスラインのコントロールも重要であり、高い位置でボールを奪うためにラインを高く保つか、自陣に引き込んでボールを奪うためにラインを低くするかの判断が求められます。

ハイプレス: ディフェンスラインを高く保ち、敵陣でボールを奪うことを目指します。成功すればショートカウンターに繋げやすいですが、背後のスペースを大きく空けてしまうリスクがあります。
リトリート（ロープレス）: ディフェンスラインを低く保ち、自陣に引き込んでボールを奪うことを目指します。相手の攻撃を誘い込む必要があるため、相手が攻めてこない場合は効果を発揮しませんが、リスクは比較的低いです。ボールを奪えれば、ロングカウンターを狙えます。

高い位置からプレスをかけてボールを奪いに行くことをフォアチェックと呼び、プレッシングを基軸にするサッカーをプレッシングサッカーと呼びます。

プレッシングの歴史

プレッシングの原型は、リヌス・ミケルスのトータルフットボールに見出すことができます。1980年代後半には、アリーゴ・サッキ監督がプレッシングを用いたゾーンプレスを確立し、大きな成功を収めました。日本においては、1990年代前半に加茂周監督がJリーグでゾーンプレスを採用し、プレッシングが注目を集めました。

また、低い位置でのプレスは、2000年前後にエクトル・クーペルやジョゼ・モウリーニョが採用し、世界的に普及しました。現在では、高い位置、低い位置に関わらず、プレッシングは多くのクラブで基本的な守備戦術として用いられています。

プレスディフェンスは、戦術的な柔軟性と高い運動能力が求められる、奥深い守備戦術と言えるでしょう。

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