プロット (物語)

プロットとは

プロットは物語の根幹を成す要素であり、出来事の要約として機能します。具体的には、プロットはストーリーにおける重要な出来事の因果関係を明確に示すものです。たとえば、あるシナリオにおいて「犬が歩く」「棒に当たる」「動物病院に運ばれる」「治療を受ける」「回復する」といった出来事があり、これらはそれぞれ原因と結果の関係で結ばれていると考えられます。プロットはこのような因果の連鎖を抜き出し、整理することでストーリーの全体像を把握してくれるため、しばしば「ストーリーライン」とも呼ばれます。

プロットとストーリーの違い

プロットは因果関係に焦点を当てる一方、ストーリーは単に出来事が発生する時間の順序を示すものです。たとえば、「王女は雪山に逃げた女王を追う」というのはプロットであり、これは事件の因果関係を表しています。しかし、「王女は雪山に逃げた女王を追う。それから、女王は魔法で氷の城を造る」というのはストーリーであり、出来事がただ時系列で並べられています。このような違いがあるため、プロットは物語の設計図として使われます。

プロットの作成と日本の映像産業

特に日本の映画制作においては、脚本を作成する前にプロットが描かれます。プロットは大まかな構成を把握するための重要なドキュメントであり、プロデューサーに提出される企画書に添付されることが一般的です。プロットの長さはワープロで1枚程度の簡潔なものから、30枚を超えるものまで多岐にわたります。

脚本家の斉藤ひろしは、プロットが求められる理由を次の三点にまとめています。第1に、脚本を作成する前に構成の完成度を確認するため。第2に、プロデューサーが読む時間を短縮するため。第3に、小説体の文章は客観描写のみの脚本よりも理解しやすいためです。このように、プロットは日本の脚本制作においても欠かせない要素となっています。

プロットの具体的な例

日本の映画制作におけるプロットの具体例として、ディズニー映画『アナと雪の女王』を引き合いに出すことができます。プロットは、設定やキャラクターの関係性、物語の展開と結末を短くまとめた文書です。こうしたプロットは後の脚本制作の基盤となり、制作陣全体でのストーリーの理解を促進します。

プロット作成技法と三幕構成

プロットを作成する際、特に映画は「三幕構成」に基づくことが多いです。これは、物語が「始まり」「中間」「終わり」という3つのパートに分かれ、それぞれが「設定」「対立」「解決」といった役割を果たす構造を指します。ターニング・ポイントと呼ばれる重要なイベントが、各幕を繋ぎ付ける役割を果たします。

これまでの解説からも分かるように、プロットの重要性はストーリーラインを整理し、新たな視点をもたらすところにあります。物語創作を行う上で、プロットの構築は欠かせないステップであることが理解できます。

歴史的背景

プロットに関する理論は古くから存在し、紀元前4世紀にはアリストテレスが『詩学』において物語を「始まり」「中間」「終わり」で分割していることが知られています。その後、19世紀のドイツの作家フライタークが提唱した理論などを経て、現代においてはシド・フィールドによる三幕構成理論が広く利用されています。

このように、プロットは文学や映像作品において重要な役割を果たす構成要素であり、ストーリーを形成する上で不可欠な存在であることが分かります。

もう一度検索