プロテクター (映画)

映画『プロテクター』の概要

『プロテクター』（原題：The Protector）は、1985年にアメリカと香港の共同制作によって生まれた映画で、ジャッキー・チェンが主演し、ジェームズ・グリッケンハウスが監督を務めました。この作品は、ジャッキーがアメリカ映画界に進出した第一歩として位置付けられています。ジャッキーにとってはアメリカでの第二作目であり、香港の名プロダクションであるゴールデン・ハーベスト社と、ワーナー・ブラザーズの協力によって制作されました。

あらすじ

物語の中心には、ニューヨーク警察の刑事ビリー（ジャッキー・チェン）がいます。彼は仲間を強盗団との交戦で失ったばかりで、心の重荷を抱えていました。そんな中、ビリーはファッションショーの警備を任されることになりますが、ショーに参加していた主催者の娘ローラ（ソーン・エリス）が誘拐され、香港へと連れ去られてしまいます。

そこでビリーは、新たな相棒であるガローニ（ダニー・アイエロ）とともに香港へと派遣されますが、現地の警察署長は二人に対して冷たい態度を取り、協力を得ることができません。それでも諦めず、ビリーたちは独自に捜査を進め、ローラの誘拐犯が香港マフィアのボス、コウであることを突き止めます。しかし、彼女を救出したものの、今度はガローニが敵の手に落ちてしまいます。

制作背景と対立

本作の制作にあたっては、映画のスタイルに関して監督のグリッケンハウスと主演のジャッキー・チェンの間に激しい対立がありました。特にアクションシーンの演出に関して、両者は意見が大きく食い違いました。ジャッキーは自身のアクションスタイルに対する不満から、制作側に直接アプローチし、アジア圏向けの作品について監督として変更を加えることを許可されるに至りました。

ジャッキーが改訂権を得ると、即座に脚本の修正と再撮影を行い、新たなキャラクターやアクションシーンの追加を進めました。その結果、もとの制作版とは大きく異なる内容となり、台詞や演出にも彼の色が色濃く反映されることに。しかし、グリッケンハウス版とジャッキー版の二つのバージョンが存在することとなり、それぞれで見せる雰囲気が著しく異なることが話題となりました。

評価と影響

オリジナルのグリッケンハウス版は統一感のあるアメリカ映画として評価されましたが、ジャッキー版はアクションシーンが力強くリテイクされ、さらに個性的な作品へと進化しました。このように、それぞれのバージョンには異なる魅力があり、ファンからは特にジャッキー版が支持を受けています。また、物語の背景には香港の文化を取り入れた内容が盛り込まれ、映画としての深みを感じさせます。

制作秘話

この映画は1981年に企画が立ち上がり、1982年から撮影を開始する予定でしたが、別のプロジェクトのために一時中止となりました。1984年になり、実際の撮影が開始され、ニューヨークでのロケーションは市の全面的な協力を得ることができました。この中には、非常に危険な地域であるサウスブロンクスでの撮影も含まれ、地元のアウトローたちが友情出演する場面も見られました。

ヘリコプターを用いたシーンでは、膨大なフィルムが消費され、その製作費用も非常に高額でした。これらのシーンは、映画のクライマックスに向けた迫力を演出するために重要な要素となっています。

映像メディア

本作は多くの映像メディアに展開されており、さまざまなバージョンがリリースされています。特に日本では、ジャッキー版が人気を博し、様々な特典付きで提供されています。オリジナル版も存在しますが、入手が難しく、コレクターズアイテムとしての価値を高めています。特に、エンディングには日本独自のNGシーンが存在しており、ファンにとって驚きの要素となっています。

このように、『プロテクター』はアクション映画としてだけでなく、制作の裏側に潜むストーリーや、監督と主演とのドラマなど、多くの要素が複雑に絡み合った作品であることが魅力となっています。

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