プロメテウス (スターゲイト)

プロメテウス (宇宙戦艦)

アメリカ合衆国制作のSFドラマシリーズ、『スターゲイト SG-1』および『スターゲイト アトランティス』に登場する「プロメテウス」は、地球製としては初めて、超光速航行を可能にした画期的な宇宙戦艦です。地球外生命体の高度な技術と、地球自身の科学力を融合させ、さらに友好的な異星種族アスガードからの協力も得て開発されました。これは、地球が銀河の脅威に対抗し、深宇宙を探査するための第一歩となる存在でした。

開発経緯と命名

「プロメテウス」の開発は、X-303という形式番号を持つ試作機から始まりました。SG-1チームが様々な星系で収集したエイリアンの技術情報、特に推進システムやエネルギー供給に関する知見を基に、地球の技術者たちが建造を進めました。この試作機の成果を踏まえ、兵装や防御システムなどを強化した実戦型として完成したのがBC-303であり、これが「プロメテウス」と正式に命名されました。艦名の由来は、ギリシャ神話に登場し、人類に火をもたらしたとされる英雄プロメーテウスです。艦番号の「BC」は、"Battle Cruiser"、すなわち巡洋戦艦を意味しています。興味深いエピソードとして、SG-1の初期リーダーであるジャック・オニール大佐は、国民的SFシリーズへのオマージュとして「エンタープライズ」と命名することを望んでいましたが、軍上層部によって却下されたと伝えられています。

艦の構造と性能

プロメテウス級として分類されるこの艦は、当初地球が最大の脅威としていたゴアウルドの主力艦であるハタク級と比較すると、やや小型な設計でした。しかし、トリニウム合金製の頑丈な船体と、アスガードから提供された先進的なシールドシステムにより、高い防御力を持っていました。

推進システムとしては、亜光速エンジンを2基搭載しているほか、最大の特徴であるハイパードライブエンジンも2基備えていました。初期のハイパードライブは地球独自開発のものでしたが、運用上のトラブルや事故が頻発したため、一時的にゴアウルドのアルケシュ級宇宙船から回収したシステムに換装されました。最終的にはアスガードから供与された安定性の高いハイパードライブを得ることで、安全な長距離超光速航行が可能となりました。艦の動力源には、強力なエネルギーを供給するナクアダジェネレータが使用されていました。

装備と兵装

「プロメテウス」は、巡洋戦艦として多用途な装備と兵装を有していました。防御面では前述のアスガード製シールドと強固な船体に加え、近接防御兵器も搭載しています。主な攻撃兵装としては、レールガンを4門と、汎用ミサイルを16基装備しており、敵艦との戦闘や地上目標への攻撃に対応できました。

また、エイリアン技術の応用として、アスガード転送ビームと転送リングの両方を搭載しており、船外への人員や物資の迅速な移動、あるいは敵艦からの鹵獲などに活用されました。艦載機としては、ゴアウルドのデス・グライダーを基に地球が開発・量産化した戦闘機F-302を最大8機搭載、運用することが可能で、艦隊戦における航空支援や偵察任務を担いました。

運用とクルー

「プロメテウス」の主な運用目的は、地球とその同盟種族の防衛、そして未知の宇宙領域の探査でした。初代艦長はウィリアム・ロンソン大佐、その後をペンダーガスト大佐が引き継ぎました。初期の開発段階では、技術的な不安定さからアスガードの技術者トールからは「劣悪でお粗末」と厳しい評価を受けたり、自己増殖する機械生命体レプリケーターからは攻撃目標として見向きもされないなど、その性能には改善の余地が多く見られました。しかし、度重なる改修と実戦経験を経て、地球にとって欠かせない戦力へと成長していきました。

主な活躍と最期

「プロメテウス」はその運用期間中、数々の重要な任務に参加しました。特に、『スターゲイト SG-1』シーズン7の最終話では、強力な敵であるアヌビスの大艦隊との激しい戦闘において、搭載するF-302と共に奮戦し、SG-1チームや他の艦艇を守り抜く上で重要な役割を果たしました。この戦いを経て、地球防衛の要としての地位を確立しました。

しかし、その壮絶なキャリアは突然終わりを迎えます。『スターゲイト SG-1』シーズン9において、オーライの支援を受けたテガラス星の好戦的な勢力が使用する衛星兵器を破壊するため、テガラス星系へと派遣されました。その任務遂行中、「プロメテウス」は衛星兵器からの強力な攻撃を複数回受け、致命的な損傷を負いました。艦が撃沈される寸前、乗員に対して退艦命令が出され、転送リングなどの手段を用いて脱出が試みられました。しかし、総員115名のうち、脱出後に友好的なカレド連邦の領域にたどり着き保護されたのは76名に留まりました。残念ながら、艦長を含む39名の乗員は作戦中に戦死(KIA)となりました。その後、SGC（スターゲイト・コマンド）帰還後に、彼らを追悼する合同慰霊祭が執り行われることとなりました。

「プロメテウス」の喪失は地球にとって大きな痛手でしたが、その開発と運用を通じて得られた膨大なデータと経験は、後に建造されるより大型で高性能なダイダロス級巡洋戦艦シリーズへと引き継がれ、地球の宇宙におけるプレゼンスをさらに強化する礎となりました。

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