プロ野球を10倍楽しく見る方法

プロ野球を10倍楽しく見る方法

江本孟紀による『プロ野球を10倍楽しく見る方法』は、1982年1月にKKベストセラーズから出版された本で、元プロ野球選手である著者が現役時代に体験した逸話を満載にした一冊です。江本は、1981年に自身が発言した「ベンチがアホやから野球がでけへん」の言葉をきっかけに現役を引退しました。その後、プロ野球の裏話や選手の人間性に迫る内容を記録しました。

この書籍のヒットは、ただの暴露本としての期待以上に、多くの読者の心を掴みました。江本は、「野球に関する報道は偏りがちで、選手の人間味が伝わりにくい」と感じ、その情報が必要だと考えました。その結果、野球ファンだけでなく一般の人々にも受け入れられる内容となり、100万部以上を売り上げるベストセラーとなります。

この本の編集者は、細木数子の「六星占術シリーズ」などを手掛けた名編集者、寺口雅彦です。寺口は、江本に対して他のマスコミと異なり、アホらしい話ではなく、面白いエピソードを書いてもらいたいという思いを持っていました。また、書籍のタイトルは、KKベストセラーズ創業者の岩瀬順三が以前から考えていたもので、江本の書く内容にぴったりとハマりました。

『プロ野球を10倍楽しく見る方法』の成功は、同年に続編である『プロ野球を20倍楽しく見る方法』の出版へとつながり、その後も様々な関連書籍が登場しました。特に「○倍楽しく見る方法」というタイトルは、江本の本の影響を受けた形で多くのジャンルに広まりました。

本書は、単なる野球の解説にとどまらず、選手たちの生活や思いについても触れています。野球選手が「ただのアスリート」ではなく、「普通の人」であることを理解し、ファンと選手の距離感を縮めることに寄与しました。このようなアプローチが、本書の魅力でもあり、また読者を引き付ける要因だったのかもしれません。

また、本書に基づいた映画も1983年から1984年にかけて制作され、多数のプロ野球の珍プレー・好プレー映像を集めた内容となっています。これにより、書籍としての成功のみならず、映像作品としても文化に影響を与えたことが評価されています。

このシリーズは、その後も続き、様々な形でプロ野球の楽しみ方を広めてきました。著者江本の独特な視点から描かれた球界の内情や選手たちの素顔は、多くの人々に野球の新たな一面を見せてくれました。彼の作品は、現在でも多くのファンに愛され、プロ野球界の記録として語り継がれています。

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