ヘメーンテ (オランダ)

ヘメーンテとは

ヘメーンテ（オランダ語：Gemeente）は、オランダにおける基礎自治体のことで、その特徴はオランダ全土に存在する345の異なる単位で構成されています（2022年のデータによる）。基本的に、ヘメーンテは最小の行政区分であり、他の国の市町村と比較しても各ヘメーンテの規模や人口に関わらず同格とされます。そのため、日本のような市町村の概念は存在しません。

ヘメーンテの構成と機関

ヘメーンテは、さらに細かく約7000の地区に分けられていますが、地区自体に自治権は付与されていません。ただし、特定の状況下やデールヘメーンテと呼ばれる大規模な自治体においては、若干の自治権が認められることがあります。

ヘメーンテの最高機関は議会（gemeenteraad）であり、ここでは立法及び行政の両方が行われます。この点において、イギリスの地方議会と類似した機能を持っています。例えば、アムステルダムの議会は45名の議員で構成されていますが、小規模なヘメーンテでは9名の議員しかいない場合もあります。

議会の運営には首長が介入し、首長は住民によって選出されるのではなく、各州の弁務官や知事の推薦に基づき国王によって任命されます。これにより、オランダにおける行政の多くは国の指導のもとで行われる独特な仕組みが出来上がっています。

警察と防災

オランダにおける警察の管理は特異であり、自治体警察は人口が2万5000人以上のヘメーンテや、それに類似する連合体でないと受け持つことができません。それに満たない場合は、国家警察の管理下に置かれます。また、消防や防災に関しても、オランダ本土は25の広域行政区域に分割されており、各ヘメーンテはこの域内で他のヘメーンテと連携し、共同で警察や消防の業務を行っています。この仕組みは、日本における広域連合のシステムに似ています。

デールヘメーンテの存在

とはいえ、オランダの中でも特に大規模な都市、アムステルダムやロッテルダムでは、デールヘメーンテ（Deelgemeente）と呼ばれる細分化がなされています。これは、それぞれのデールヘメーンテに対し一部の自治権が移譲される形式で、いわば日本の政令指定都市が持つ行政区のような意味合いを持ちます。デールヘメーンテの選挙では区長や区議会議員が選ばれ、より広範な自治権が認められているため、一般的にこれらの地区は日本の市町村と異なる特色を持っています。

アムステルダムのデールヘメーンテは特にスタッズデール（Stadsdeel）と称され、住民にとって身近な行政単位となっています。

日本語訳とその側面

日本語において、ヘメーンテを表現する際には、その人口規模に応じて「市」「町」「村」といった便宜上の名称が用いられることがあるものの、行政上の明確な区分は存在しません。また、デールヘメーンテはその見地から「区」として訳されることが多いのも特徴的です。

このように、ヘメーンテの仕組みはオランダ特有のものであり、国の中央集権体制を反映した複雑な行政の様相を呈しています。各ヘメーンテは、地域住民のニーズに応じた行政サービスを提供するための重要な役割を果たしています。

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