ヘンリー・プール

ヘンリー・プール & Coについて

ヘンリー・プール & Co（Henry Poole & Co）は、イギリス・ロンドンに位置する著名な紳士服テイラーです。サヴィル・ロウ15番地に本店を構える同社は、サヴィル・ロウ最古のテイラーとして知られ、家族経営の体制で長い伝統を守り続けています。1860年には、後にエドワード7世となるプリンス・オブ・ウェールズから依頼を受けてモダンスタイルのディナージャケットを生産し、この業界に革命をもたらしました。

歴史的背景

ヘンリー・プールの創業は1806年に遡ります。当初はブランズウィック・スクエアにてリネンの商売が始まり、その後すぐに軍服の仕立てを専門としていました。創業者ジェームズ・プールは、名高いワーテルローの戦いに従軍した経歴も持っています。1846年には息子のヘンリーがサヴィル・ロウに店を移し、その後もこの地でその名を馳せるようになりました。1961年には再開発のためコーク・ストリートへ移転するも、1982年に現在の場所に戻り、再び伝統を受け継ぎました。

ヘンリー・プールは1876年まで経営に関与し、彼の死後は従兄弟のサミュエル・カンディが経営を引き継ぎました。その後も同社は王室からの御用達認定を受け続けており、1858年にはナポレオン3世の御用達となりました。エリザベス2世からは1976年にロイヤルワラントを受けるなど、国際的にもその地位を確立しています。毎年、日本やヨーロッパ、アメリカでオーダー会を開催し、顧客との関係を大切にし続けています。

ディナースーツの誕生

1860年、ヘンリー・プールはエドワード7世が非公式なディナーパーティで使用するために短いイブニング・ジャケットを製作しました。1886年にはニューヨークのジェームス・ポッターがロンドン訪問時に、王子からの勧めでスモーキング・ジャケットを発注することになりました。このデザインは後にアメリカのタキシードクラブで流行し、「タキシード」という呼称が生まれました。このように、同社のデザインは国際的なトレンドにも影響を与えました。

代表的な顧客と有名な逸話

ウィンストン・チャーチルはヘンリー・プールの代表的な顧客として知られ、2007年には彼が愛用していた服地を復刻した商品が限定販売されました。さらに、彼が着用したスーツは、2017年の映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男|ウィンストン・チャーチル_ヒトラーから世界を救った男』で再現されています。しかし、調査によると、チャーチルは同社に対して220万円以上の未払いがあったことが明らかになっています。その他にも、エドワード7世やチャールズ・ディケンズも同様に支払いの遅延があったことが言われています。

まとめ

ヘンリー・プール & Coは、歴史と伝統を重んじつつ、革新を追求することでその名を確立してきた紳士服テイラーです。サヴィル・ロウの誇り高き一角を占める同社のストーリーは、今もなお多くの人々に愛され続けています。

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