ベアンテ・ボーマン

スウェーデンに生まれたベアンテ・ボーマン氏は、国際的に活躍するチェリストであり、同時に宣教師、神学校教師、写真家といった多彩な顔を持つ人物です。

1951年1月8日、スウェーデンのファールン市に生を受けたボーマン氏は、クリスチャンの家庭で育ちましたが、10歳の時に自身の信仰を確立し、イエス・キリストを信じるに至ります。12歳で洗礼を受け、同じ年にチェロという楽器に出会いました。この出会いが、後の彼の人生に大きな影響を与えることとなります。

音楽の才能を開花させた彼は、16歳でストックホルム王立音楽大学に入学。優秀な成績を収め、1971年には最優秀賞を得て卒業しました。卒業後、奨学金を得てドイツのフォルクヴァング音楽大学で研鑽を積み、さらにフィンランドのシベリウス・アカデミー大学院でも学びを深めました。ドイツ留学中には、後に妻となるルリ子夫人と出会っています。シベリウス・アカデミー在学中には、フィンランドでキリスト教のリバイバルが起こっており、その波に乗じて自身の信仰をさらに揺るぎないものとしました。

音楽家としてのキャリアは、1971年から1972年にかけてヨーテボリ国立歌劇場で首席チェロ奏者を務めたことから始まります。そして1980年、日本の東京交響楽団に首席チェロ奏者として入団しました。実は、当初はトゥッティ奏者の募集に応募していましたが、オーケストラの楽団長から「あなたをトゥッティとしては入れたくない」「首席チェリストとしてなら入団してもらいたい」と言われたというユニークな経緯で首席奏者となったエピソードはよく知られています。以来、31年間にわたり東京交響楽団の首席チェロ奏者として活躍し、2011年に定年退職を迎えるまで、日本のクラシック音楽界に貢献しました。

1979年には宣教師として来日しており、東京交響楽団での演奏活動と並行して、信仰に基づく活動も精力的に行ってきました。1980年のTEAMでの講演を機に、日本各地で演奏と証しの機会を持つようになります。彼の演奏は多くの人々の心を打ち、NHKのドラマ「ちいさこべ」の録音では、その美しく心に響く音色に感動した関係者が涙を流したという逸話も残されています。

音楽活動だけでなく、教育分野でもその知識と経験を分かち合っています。2011年からは玉川大学芸術学部で非常勤講師を務めるほか、ルイジアナ・バプテスト大学大学院日本校や東京中央神学院でも教鞭をとるなど、次世代の育成にも尽力しています。また、1992年にはカリフォルニア神学大学院より名誉神学博士号を授与されるなど、神学の分野でも高い評価を得ています。

多岐にわたる活動の中でも、写真家としての顔も持ち合わせており、全日本山岳写真協会のメンバーとしても活動しています。そして、妻であるルリ子夫人との協力関係は彼の活動において不可欠です。ルリ子夫人はボーマン氏のソロ活動でピアノ伴奏を務めるだけでなく、キリスト教関係の講演で通訳を担ってきました。現在はボーマン氏自身も日本語に堪能であり、夫妻でエルカナミニストリーを設立し、宣教活動に取り組んでいます。

ベアンテ・ボーマン氏の活動は、音楽、信仰、教育、芸術という様々な領域に及び、その全てにおいて情熱をもって取り組む姿勢は多くの人々に感銘を与えています。

主な著作・CDとしては、以下のものがあります。

CDシリーズ『クラシカル チェロ プレイズ』 (1～4)
写真集『創造のシンフォニー』
著書『神の奏でるメロディー』 (絶版)
「聖句入り絵はがき」

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