ベイビー・トーク

ベイビー・トーク

1989年に公開されたアメリカ合衆国のコメディ映画です。エイミー・ヘッカーリングが監督を務め、まだ言葉を話せない赤ん坊のユニークな視点から大人の世界をコミカルに描いた作品であり、その後シリーズ化された記念すべき第1作目です。

概要

本作の最大の魅力は、主人公である赤ん坊、マイキーの心の内を表す「心の声」が物語の語り部となっている点にあります。このマイキーの声を人気俳優のブルース・ウィリスが担当しており、彼のユーモア溢れる語り口が、赤ん坊の目から見た大人たちの滑稽な言動や、時に深刻な状況を面白おかしく表現しています。また、本作は俳優ジョン・トラボルタにとってキャリアの大きな転換点となったことでも知られています。かつて『サタデー・ナイト・フィーバー』などで一世を風靡しながらも、その後低迷期が続いていた彼が、本作への出演をきっかけに再び脚光を浴び、後の『パルプ・フィクション』でのさらなるブレイクへと繋がりました。

ストーリー

物語は、ニューヨークでキャリアを積む女性モリーが、取引先の社長アルバートとの不倫関係から妊娠してしまうところから始まります。当初、結婚を考えているかのような態度を見せていたアルバートでしたが、モリーの妊娠を知ると態度を急変させ、別の女性と関係を持ったことから二人の関係は破綻します。モリーは大きなショックを受けますが、困難に立ち向かう決意を固め、一人で子供を育てながら仕事も続ける道を選びます。

出産予定日が近づいたある日、陣痛が始まったモリーは、予期せぬ交通渋滞に巻き込まれてしまいます。病院へ急ぐタクシーが立ち往生する中、窮地を救ったのは、偶然通りかかった陽気なタクシードライバーのジェームズでした。彼の機転と助けもあり、モリーは無事、元気な男の子を出産します。生まれたばかりのその子こそが、本作の主人公、マイキーです。

シングルマザーとしてマイキーを育て始めたモリーは、仕事と育児の両立に奮闘します。慣れない育児に戸惑いながらも、マイキーの成長を喜び、愛情を注ぎます。しかし、成長していくマイキーを見て、彼にとって父親の存在が必要なのではないかと悩み始めます。そんな折、彼女は思いがけず、あの出産騒動で助けてくれたジェームズと再会することになります。ジェームズは誠実で明るい人柄であり、モリーとマイキーとの交流を深めていきます。マイキーの「心の声」を通して描かれるジェームズへの率直な評価や、彼とモリーの間で揺れ動く感情の機微が、物語に温かさとユーモアを加えていきます。

果たして、モリーはマイキーにとって、そして自分にとって最良の道を見つけることができるのか。マイキーの視点から描かれる大人の恋愛模様と、新しい家族の形を模索する姿が描かれます。

シリーズ化

本作のヒットを受け、続編も制作されました。1990年には、マイキーに妹が誕生し、その視点も加わる『リトル★ダイナマイツ/ベイビー・トークTOO|リトル★ダイナマイツ_ベイビー・トークTOO』（Look Who's Talking Too）が、そして1993年には、一家の飼い犬の視点から描かれる『ワンダフル・ファミリー/ベイビー・トーク(3)』（Look Who's Talking Now）が公開されています。これらの続編も、ユニークな視点とコメディタッチの描写で人気を博しました。

キャスト（一部）

モリー（主人公）
マイキー（赤ん坊、声：ブルース・ウィリス）
* ジェームズ（タクシードライバー）

本作は、赤ん坊という最も純粋な存在の目を通して、複雑な人間関係や人生の選択をユーモラスかつ温かく描き出した作品として、多くの観客に愛されました。

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