ベティ・ライト

ベティ・ライト

ベティ・ライト（Betty Wright）は、1953年12月21日にアメリカ合衆国フロリダ州マイアミで誕生し、2020年5月10日に同地で66年の生涯を閉じた、傑出した女性R&Bシンガーソングライターです。本名はベッシー・レジーナ・ノリス（Bessie Regina Norris）といいます。60年以上の長いキャリアを持ち、特にフロリダ州マイアミを活動の拠点として確固たる地位を築いたことから、『マイアミ・ソウルの女王』という敬称でも広く親しまれました。

経歴

彼女の音楽的な旅は、わずか2歳という幼さで始まりました。兄弟姉妹と共にゴスペルグループ「ザ・エコーズ・オブ・ジョイ」に参加し、キャリアの礎を築きました。

プロとしての大きな転機は、17歳を迎えた1971年に訪れます。この年に発表した楽曲「クリーン・アップ・ウーマン」が、全米の主要チャートで目覚ましい成績を収めました。ビルボードの総合シングルチャートであるHot 100で最高6位、そしてR&Bチャートでは最高2位を記録し、一躍その名を知らしめることとなりました。

1975年には、彼女の代表曲の一つである「愛は何処に (Where Is the Love)」が、権威あるグラミー賞において「最優秀R&B楽曲賞」を受賞。これにより、ソングライターとしての才能も高く評価されました。

さらに、1978年にリリースされたアルバム『ライヴ』に収録された「Tonight is the Night」のライブバージョンは、シングルカットされR&Bチャートで11位を記録するなど、ライブパフォーマンスも高く評価されていました。

1980年代に入ると、ベティ・ライトは自らの音楽活動をさらに独立させるため、自主レーベル「Ms. B Records」を設立し、自身の創造性を追求する道を選びました。

2020年5月10日未明、故郷マイアミにて、癌のため惜しまれつつ亡くなりました。

その他

彼女の初期の代表曲である「クリーン・アップ・ウーマン」は、後世のアーティストにも影響を与えています。特に日本のミュージシャンである小沢健二が1994年に発表したシングル曲「ラブリー」では、この楽曲がサンプリングとして使用され、新たな世代のリスナーにも届けられました。

ディスコグラフィ (抜粋)

彼女のキャリアを通じて発表された主なアルバムは以下の通りです。

『マイ・ファースト・タイム・アラウンド』 - My First Time Around (1968)
『アイ・ラヴ・ザ・ウェイ・ユウ・ラヴ』 - I Love The Way You Love (1972)
『ハード・トゥ・ストップ』 - Hard To Stop (1973)
『デンジャー・ハイ・ヴォルテージ』 - Danger High Voltage (1974)
『エクスプロージョン』 - Explosion! (1976)
『ディス・タイム・フォー・リアル』 - This Time For Real (1977)
『ライヴ』 - Live (1978)
『ベティ・トラヴェリン・イン・ザ・ライト・サークル』 - Betty Travelin' In The Wright Circle (1979)
『ベティ・ライト』 - Betty Wright (1981)
『ライト・バック・アット・ユー』 - Wright Back At You (1983)
Sevens (1986)
Mother Wit (1988)
4u2njoy (1989)
Passion & ComPassion (1990)
All The Way Live (1992)
『B-アティチューズ』 - B-Attitudes (1994)
『ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ベティ・ライト』 - The Very Best Of Betty Wright (2000)
Fit for A King (2001)
『ベティ・ライト: ザ・ムーヴィ』 - Betty Wright: The Movie – with the Roots (2011)
Living...Love...Lies (2014)

ベティ・ライトは、そのパワフルな歌声と表現力、そしてソングライターとしての才能により、アメリカのポピュラー音楽史に確固たる足跡を残しました。

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