ベトナムの高速道路

ベトナムの高速道路：経済成長を支えるインフラ

ベトナムでは、近年、自動車交通量の増加に伴い、高速道路網の整備が急速に進んでいます。2000年代中盤に最初の高速道路が開通して以来、そのネットワークは拡大を続け、2020年には総延長1,276kmに達しました。政府は、経済成長をさらに加速させるため、2030年までに7,000kmにまで延伸する計画を打ち出しています。これは、ベトナムの経済発展を支える重要なインフラストラクチャーとして、その役割が期待されています。

開発の現状と課題

ベトナムにおける高速道路網の整備は、比較的新しい取り組みであり、まだ標準化が完全には実施されていません。道路の所有者も様々で、国営企業や民間企業が運輸省の代わりに開発、所有、運用を行っています。例えば、国営のベトナム高速道路公団は4本の高速道路を運営していますが、通行料金の徴収は契約した民間企業が行っています。これらの企業は、徴収した通行料と収入を運輸省と道路管理長官に報告する義務がありますが、過去には、徴収企業が収入を詐称し、汚職疑惑の対象となった事例も複数回あります。政府は、安全管理が不十分な企業に対して、運営免許の剥奪などの厳しい措置を取ることもあります。

ベトナム高速道路公団の財務状況を見ると、2019年には年間1億3,700万ドルの収入がありましたが、3,700万ドルの負債も抱えています。現在計画中の高速道路の総建設費は、479億ドルと見積もられており、多額の投資が必要とされています。これらの状況から、ベトナムの高速道路事業は、資金調達や運営管理において、依然として多くの課題を抱えていると言えるでしょう。

利用状況と制限

ベトナムの高速道路は、一般的に自家用車、バス、トラックなどの車両が利用できます。しかし、農業用車両（công nông）やほとんどの自動二輪車は、安全上の理由から走行が禁止されています。この規制は、高速道路における交通の円滑化と安全確保を目的としています。

高速道路ネットワーク計画

2021年の高速道路ネットワーク計画では、以下の幹線道路が重点的に整備されています。

南北高速道路

ベトナムの主要な高速道路であり、北部、中部、南部を縦断します。それぞれの地域で、以下のような高速道路が計画されています。

北部地区: ハノイ周辺の環状道路などが整備されています。
中部地区: 中部地域を結ぶ高速道路が建設中です。
南部地区: ホーチミン市周辺の環状道路を含め、南部地域を網羅する計画です。

ハノイ環状道

首都ハノイ周辺の交通渋滞緩和のために、環状道路が整備されています。

ホーチミン市環状道

経済の中心地であるホーチミン市周辺でも、交通の円滑化を目的とした環状道路が計画されています。

これらの計画に基づき、ベトナムの高速道路網は、今後も着実に拡大していくことが予想されます。

過去の計画

2015年の高速道路ネットワーク計画も存在しましたが、2021年の計画でさらに具体的な整備が進められています。

まとめ

ベトナムの高速道路は、経済成長を支える重要なインフラとして、その整備が急ピッチで進められています。しかし、運営や財政面での課題も多く、今後、これらの課題を克服しながら、持続可能な高速道路網を構築していくことが重要です。政府と民間が連携し、より効率的で安全な高速道路網の実現が期待されています。


外部リンク

ベトナム運輸省

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