ベネデッタ

映画『ベネデッタ』の概要

『ベネデッタ』（Benedetta）は、2021年に公開されたフランス・ベルギー・オランダ製の伝記サイコロジカル・ドラマ映画です。この作品は、17世紀に生きた修道女ベネデッタ・カルリーニの波乱に満ちた半生を描いています。ストーリーは、ジュディス・C・ブラウンのノンフィクション『ルネサンス修道女物語:聖と性のミクロストリア』を原作としており、ポール・バーホーベンが監督と脚本を務めました。

ストーリー展開

物語は、イタリアの小さな町ペーシャから始まります。修道女として生きることを決意したベネデッタは、両親に連れられてテアティン修道院に向かう途中、傭兵に襲われてしまいますが、彼女の信仰心が奇跡を呼び起こし、危機を免れます。修道院に入った彼女は、やがて神秘的な幻視を経験し、自らの信仰が試されることになります。

時が経ち、彼女は修道院内で若い少女バルトロメアを紹介されます。二人の間には信頼が芽生え、その関係は次第に友情から愛に変わります。ベネデッタはイエス・キリストからの呼びかけや奇跡的な現象を経験し、自らの信仰を周囲に示していきますが、同時に彼女の聖痕が真実なのか疑念が生じるようになります。

懐疑と告発

特にフェリシタ修道院長は、ベネデッタの聖痕に懐疑を抱き、慎重に彼女を見守ります。その中で、修道院内での性を巡る問題が持ち上がり、ベネデッタの行動がコミュニティを揺るがせます。彼女は自らの性行為を隠し持ちつつ、同時に神の声と聖痕によって神聖視されていく複雑な状況に直面します。この状況を掴んだクリスティナという修道女が告発しようとし、物語は大きな転換を迎えます。

火刑と復活

サスペンスが高まる中、ベネデッタは火刑にされる運命に立たされます。しかし、ここで驚きの展開が待っており、彼女は衆人環視の中で復活し、自身が神からの使命を持つ存在であると宣言します。この出来事は多くの人々を惹きつけ、ベネデッタを「聖女」として崇める者が現れますが、彼女に対する批判も絶えません。

終息の兆し

町にペストが蔓延する中、ベネデッタはその疫病を防ごうとする奇跡を起こしますが、彼女の奇跡を疑う声も多く、ますます彼女の存在を危うくします。物語の終盤では、彼女の聖痕が偽造であったのかという真実が暴露され、最後には修道院を追放され、70歳で世を去るまでの隔離生活を送るという運命が描かれます。

映画の背景と評価

ポール・バーホーベン監督は、性と信仰というテーマを通じて人間の持つ欲望や葛藤を描き出しており、作品は公開されるや否や賛否の声を呼ぶこととなりました。カンヌ国際映画祭での評価や、多くの海外映画祭でもフィーチャーされたことからも、その内容の影響力を伺わせます。

このように、『ベネデッタ』は17世紀の宗教的背景をもとにした人間ドラマであり、信仰とセクシュアリティの複雑な関係を問い直す作品として、多くの観客に深い印象を残しました。

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