ベネフィット・コーポレーション

ベネフィット・コーポレーションとは

ベネフィット・コーポレーション（英: Benefit Corporation）とは、アメリカ合衆国の各州法に基づいて認可される企業形態です。このビジネスモデルは、営利を目的としながらも、社会的および経済的な利益をともに追求するハイブリッド型企業として位置づけられています。略称はBCです。

米国におけるベネフィット・コーポレーションの法的背景

2010年、メリーランド州で初めてベネフィット・コーポレーションに関する法律（BC法）が施行され、その後、2016年1月現在では全米31州においてこの法が制定されています。企業形態としては、ベネフィット・コーポレーションの経済的・社会的役割を強調するために「パブリック・ベネフィット・コーポレーション」（Public Benefit Corporation、PBC）とも呼ばれることがあります。

アメリカの企業法制は州単位であり、各州のBC法規定は一様ではありません。しかし、模範BC法（Model Benefit Corporation Legislation）が作成され、標準的なルールを提供しています。この模範法には、法人がBCであることを明示するための予備規定や、公共便益を目的とする明確な目的規定、取締役の倫理基準や説明責任を規定する説明責任規定などが含まれます。

ベネフィット・コーポレーションの基本要件

1. 設立要件

法人としての設立、転換、合併、売却、地位解除などに関する規定があり、法人がBCとしての特性を備えていることが求められます。

2. 目的規定

一般公共便益（General Public Benefit）及び特定公共便益（Special Public Benefit）を創出することが、法人の 活動目的として明記されている必要があります。

3. 説明責任規定

取締役や経営陣が利害を考慮し、説明責任を果たすための基準を定めることが求められます。このため、ベネフィット・ディレクターなどの役職を設置することが推奨されています。

4. 透明性の確保

第三者の基準を遵守し、それに基づくベネフィットレポートを作成することで、透明性を確保します。これにより、外部からの評価と信頼を得ることが可能です。

世界的な展開と認証制度

米国の非営利団体Bラボは、ベネフィット・コーポレーションを設立していない州や国においても、BC同等の基準を持っている企業に対して認定BC（Certified Benefit Corporation）制度を設けています。これにより、BCの理念を広めるための国際的な基準を促進しています。

日本における議論

日本でも、「経済財政運営と改革の基本方針2022」の中で、民間が公的な役割を持つ法人の新設についての検討が進められています。これにより、「日本版BC」としてベネフィット・コーポレーションの導入が期待されています。

このように、ベネフィット・コーポレーションは営利企業でありながら社会的な使命を果たす新しいビジネスモデルとして注目を集めています。

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