ベラ・ルゴシのジャングル騒動

『ベラ・ルゴシのジャングル騒動』：ベラ・ルゴシとコメディアンたちの珍道中

1952年、ウィリアム・ボーディン監督によって世に放たれたアメリカ合衆国の喜劇映画『ベラ・ルゴシのジャングル騒動』。ホラー映画で知られるベラ・ルゴシを主演に迎え、ナイトクラブ・コメディアン、デューク・ミッチェルとサミー・ペトリロの軽妙な掛け合いが魅力の作品です。

はちゃめちゃな冒険劇

物語は、グアム公演へ向かう途中のデュークとサミーが、謎の島「コラコラ島」に漂着するところから始まります。親切な島民に助けられ、一時的な楽園を手に入れた二人ですが、島の反対側に住むザイバー博士というマッドサイエンティストの存在を知ります。助けを求めて博士を訪ねたデュークは、博士の娘ノナと恋に落ちますが、博士もノナに想いを寄せており、嫉妬からデュークを猿に変えようという恐ろしい計画を立て始めます。サミーはそんな友人デュークを救おうと奮闘し、予想外の事態へと発展していきます。

制作秘話：偶然の出会いから生まれた作品

当初、この映画は『失われた密林の白人女性』というタイトルで企画されており、リアルアート・ピクチャーズのプロデューサーの息子が考案したものでした。しかし、ベラ・ルゴシの出演が決定したことでタイトルが変更されました。サミー・ペトリロはジェリー・ルイスの物真似で知られており、デューク・ミッチェルはディーン・マーティンの役を演じていました。二人はラスベガスのクラブで活躍しており、『ベラ・ルゴシのジャングル騒動』は彼らの映画出演シリーズの第一作目として企画されましたが、結果的に唯一の作品となってしまいました。なお、この映画の存在を知ったジェリー・ルイスは、ペトリロの物真似が酷似していたとして訴訟を起こしたという逸話も残っています。

キャスト：個性豊かな面々

映画には、ベラ・ルゴシの他に、デューク・ミッチェル、サミー・ペトリロといったコメディアンたちが個性豊かなキャラクターを演じています。ノナ役にはシャリータ、ノナの妹サロマ役にはムーリエル・ランダース、部族長ラコス役にはアル・キクメ、博士の助手チューラ役にはミッキー・シンプソンなど、個性あふれる俳優たちが脇を固めています。チンパンジーのチータ（ラモーナ役）も出演しています。

意外な評価

映画監督ティム・バートンが制作した『エド・ウッド』でベラ・ルゴシを演じたマーティン・ランドーは、役作りのためにルゴシの出演作を全て鑑賞したそうですが、「『ベラ・ルゴシのジャングル騒動』に比べれば、エド・ウッドの作品は『風と共に去りぬ』のように見える」とコメントしており、この映画の異様な雰囲気を端的に表していると言えるでしょう。

まとめ：予想外の展開と笑いと恐怖が織りなす異色作

『ベラ・ルゴシのジャングル騒動』は、ホラー映画の巨匠ベラ・ルゴシとコメディアンたちの異色の組み合わせ、そしてマッドサイエンティストや恋の三角関係といった予測不能な展開が特徴的な作品です。ベラ・ルゴシの意外な一面と、コメディアンたちのコミカルな演技、そして少し不気味な雰囲気も楽しめる、B級映画ファンにはたまらない一本と言えるでしょう。

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