ベリー公

ベリー公爵位：フランス王室と繋がる栄光と歴史

ベリー公爵位は、フランス中央部のベリー地方を領地とする、フランス王族に与えられた爵位です。世襲ではなく、国王の近親者に与えられるものでした。その歴史は、華麗なる美術品や王室の権力闘争、そしてフランスの歴史そのものと深く関わっています。

歴代のベリー公

ベリー公爵位を継承した人物たちは、フランス王室の血筋を受け継ぎながらも、それぞれの時代において様々な役割を担いました。その中には、王位継承順位の高い王子から、王家の娘、そして王室の遠縁にまで及びます。以下、主要なベリー公とその概要を記します。

ジャン1世 (1340-1416): ジャン2世の三男。1360年にベリー公爵位を授けられました。彼の時代には、後の『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』の制作が始まっています。
ジャン (1398-1417): シャルル6世の四男、そして4人目の王太子でした。1416年にベリー公爵位を授けられたものの、王位に就くことなく短命に終わりました。
シャルル (1403-1461): シャルル7世。1417年にベリー公爵位を継承した後、フランス国王となりました。百年戦争終結への道筋を切り開いた重要な人物です。
シャルル (1446-1472): シャルル7世の末子。1461年にベリー公爵位を継承しましたが、1465年にはノルマンディー公に転じました。
フランソワ (1472-1473): ルイ11世の末子。夭折しました。
ジャンヌ (1464-1505): ルイ11世の娘で、ルイ12世の最初の妃でした。1498年にベリー公爵位を授けられました。
マルグリット (1492-1549): フランソワ1世の姉。ナバラ王エンリケ2世の妃でした。1517年にベリー公爵位を授けられました。
マルグリット (1527-1574): フランソワ1世の娘。サヴォイア公エマヌエーレ・フィリベルトの妃でした。1550年にベリー公爵位を授けられました。
フランソワ (1555-1584): アンリ2世の四男。アンジュー公としても知られています。1576年にベリー公爵位を授けられました。
シャルル (1686-1714): ルイ14世の長男ルイ（グラン・ドーファン）の三男で、スペイン王フェリペ5世の弟でした。1686年にベリー公爵位を授けられました。
ルイ (1754-1793): ルイ16世。1754年にベリー公爵位を授けられました。フランス革命の中で処刑されました。
シャルル (1757-1836): シャルル10世。1776年にベリー公爵位を授けられました。復古王政期にフランス国王となりました。
シャルル・フェルディナン (1778-1820): アルトワ伯シャルル（シャルル10世）の子。
アルフォンス・ド・ブルボン: 現在、レジティミストのフランス・ブルボン家王位請求者ルイ・アルフォンスの次男が、ベリー公を名乗っています。

ベリー公と美術：豪華な時祷書

ベリー公爵位の中でも、ジャン1世は特に有名です。彼の時代に制作された『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』は、中世の芸術の最高峰として知られています。この時祷書は、精緻な装飾と美しい絵画で有名で、ベリー公の権力と富、そして当時の芸術水準の高さを示す重要な作品です。

まとめ

ベリー公爵位は、単なる爵位ではなく、フランス王室の歴史と深く結びついた重要な存在でした。王族の中でも様々な立場の人物がこの称号を授かり、それぞれの時代において重要な役割を担いました。ベリー公の系譜をたどることは、フランス王家の歴史、そしてヨーロッパ中世から近世までの歴史を理解する上で欠かせません。 また、ベリー公に関連する美術工芸品は、当時の芸術水準の高さを知る上で貴重な資料となっています。

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