ベルリン・フィルハーモニー

ベルリン・フィルハーモニーは、ドイツの首都ベルリンに位置する著名なコンサートホールであり、世界的に名高いベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地として知られています。

概要

このホールは、建築家ハンス・シャロウンの革新的な設計によって1963年に建設されました。特徴的な五角形の外観を持ち、内部はヴィンヤード（ブドウ畑）型と呼ばれる独特の構造を持つ大ホール（2,440席）と、室内楽専用のホール（1,180席）で構成されています。ベルリン・フィルの定期演奏会はもちろんのこと、ジルベスターコンサートなどの特別なイベントも開催され、世界中の音楽ファンを魅了しています。

しかし、この場所は過去に悲しい歴史を抱えています。ナチス・ドイツ時代には、T4作戦という悪名高い「安楽死」政策を実行した「安楽死管理局」が置かれていた場所なのです。現在、敷地内のティーアガルテン通り4番地には、犠牲者を追悼し、その記憶を未来に伝えるためのガラス碑が設置されています。

ステージに向かって右側の上方には、パイプオルガンが設置されています。実は、ホールの設計当初はオルガンの設置が考慮されていませんでした。しかし、後から設計に組み込まれたため、設置場所の選択肢が限られてしまい、現在の位置に落ち着いたという経緯があります。当時のベルリン・フィルの常任指揮者であったヘルベルト・フォン・カラヤンは、このオルガンの配置について「使いづらくて仕方がない」と語っていたという逸話も残っています。

ステージの雛壇は、パンタグラフ方式で昇降する仕組みになっています。最近のコンサートホールでは、エレベーター方式が主流ですが、ベルリン・フィルハーモニーでは、開館後にこの昇降装置を設置したため、舞台下に十分な空間を確保することができず、パンタグラフ方式が採用されました。

2008年5月20日には、改修工事中に屋根から火災が発生し、6時間にわたって燃え続けるという事故がありました。幸いにも、死傷者やホール内部への大きな損害、楽器への被害はありませんでしたが、修復のために一時閉鎖されました。この影響で、ベルリン・フィルはテンペルホーフ空港の格納庫で代替公演を行うことになりました。

旧フィルハーモニー

現在のベルリン・フィルハーモニーができる前、ベルンブルガー通りに旧フィルハーモニーがありました。外観も内部構造も現在のものとは大きく異なり、シューボックス（靴箱）型と呼ばれる形式のコンサートホールでした。19世紀のヨーロッパにおける代表的なシューボックス型ホールとして高く評価されていましたが、1944年1月30日のベルリン空襲によって崩壊し、使用不能となりました。戦後、廃墟と化した旧フィルハーモニーは解体され、跡地は公園として整備されました。公園の入り口には、旧フィルハーモニーがあったことを記念するプレートが埋め込まれています。

映画

ヴィム・ベンダース監督のドキュメンタリー映画「ベルリン・フィルハーモニー」（2014年）は、オムニバス形式の3D映画『もしも建物が話せたら』の一篇として制作されました。この映画は、ベルリン・フィルの歴史や魅力、そしてそこで繰り広げられる音楽の世界を深く掘り下げています。

関連項目

ベルリン放送交響楽団 - 当ホールを演奏会場の一つとするオーケストラ

外部リンク

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団公式サイト
Kulturforum on Potsdamer Platz
Berliner Philharmonie 360° Panorama

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