ベルリン地下鉄8号線

ベルリン地下鉄8号線 (Linie U8)

ベルリン地下鉄8号線、通称U8線は、ドイツの首都ベルリンにおける重要な地下鉄路線の一つです。この路線は、全長18.1キロメートルにわたり、合計24の駅が設けられています。ベルリンの市街地を南北に貫き、市民や観光客の移動を支える基幹路線としての役割を担っています。

ルートと特徴

U8線のルートは、歴史的な背景が色濃く反映されています。主に旧西ベルリン地域を縦断する形で敷設されていますが、その経路の途中でかつての旧東ベルリン地域を通過する区間が存在します。この地理的な特性は、後述するベルリンの壁時代の歴史と深く結びついています。

ベルリンの壁と「幽霊駅」の歴史

U8線の歴史において特筆すべきは、ベルリンの壁建設に伴う特殊な状況です。1961年にベルリンの壁が構築された際、U8線のうち旧東ベルリン側に位置していた一部の駅が閉鎖されることになりました。具体的には、ベルナウアー・シュトラーセ駅（Bernauer Straße）からハインリヒ＝ハイネ＝シュトラーセ駅（Heinrich-Heine-Straße）までの間にあった6つの駅が該当します。

壁の存在下では、U8線は西ベルリンの運行網の一部として機能していましたが、この区間にある閉鎖された駅には停車することが許されませんでした。西ベルリン側の列車は、乗客を乗せることなく、暗くひっそりとしたこれらの駅を通過するのみでした。そのため、これらの駅は「幽霊駅」（Geisterbahnhöfe）と呼ばれるようになり、冷戦時代のベルリン分断を象徴する存在となりました。

これらの駅は、1989年のベルリンの壁崩壊、そして翌年の東西ドイツ再統一を経て、ようやく再び営業を再開しました。約30年ぶりに光を取り戻した「幽霊駅」は、歴史の証人として現在も多くの人々に利用されています。

運行頻度と運賃ゾーン

U8線は利用者が多い路線であるため、比較的高い頻度で運行されています。平日、休日を問わず、基本的に5分から10分間隔で列車が運転されており、日中の時間帯においては非常に便利です。

運賃体系に関しては、ベルリンの公共交通におけるゾーン分けが適用されます。U8線の南端部にあたるゲズントブルンネン駅（Gesundbrunnen）から終点のヘルマンシュトラーセ駅（Hermannstraße）までの区間はZone Aに含まれます。一方、北部のヴィテナウ駅（Wittenau）からパンクシュトラーセ駅（Pankstraße）までの区間はZone Bとなります。利用区間に応じて適切な運賃ゾーンの乗車券や定期券が必要です。

駅一覧

ベルリン地下鉄8号線には、以下の24の駅があります。

ヴィテナウ駅 (Wittenau)
ラートハウス・ライニッケンドルフ駅 (Rathaus Reinickendorf)
ベルリン・カール＝ボンヘッファー＝ネルフェンクリニーク駅 (Karl-Bonhoeffer-Nervenklinik)
リンダウアー・アレー駅 (Lindauer Allee)
パラツェルズス＝バート駅 (Paracelsus-Bad)
レジデンツシュトラーセ駅 (Residenzstraße)
フランツ＝ノイマン＝プラッツ駅 (Franz-Neumann-Platz)
オスロアー・シュトラーセ駅 (Osloer Straße)
パンクシュトラーセ駅 (Pankstraße)
ゲズントブルンネン駅 (Gesundbrunnen)
ヴォルタシュトラーセ駅 (Voltastraße)
ベルナウアー・シュトラーセ駅 (Bernauer Straße)
ローゼンターラー・プラッツ駅 (Rosenthaler Platz)
ヴァインマイスターシュトラーセ駅 (Weinmeisterstraße)
アレクサンダープラッツ駅 (Alexanderplatz)
ヤノヴィッツブリュッケ駅 (Jannowitzbrücke)
ハインリヒ＝ハイネ＝シュトラーセ駅 (Heinrich-Heine-Straße)
モーリッツプラッツ駅 (Moritzplatz)
コットブッサー・トーア駅 (Kottbusser Tor)
シェーンラインシュトラーセ駅 (Schönleinestraße)
ヘルマンプラッツ駅 (Hermannplatz)
ボディーンシュトラーセ駅 (Boddinstraße)
ライネシュトラーセ駅 (Leinestraße)
ヘルマンシュトラーセ駅 (Hermannstraße)

ベルリン地下鉄8号線は、その効率的な運行と、ベルリンの分断と統一という劇的な歴史を今に伝える存在として、この都市の交通網において独特の地位を占めています。

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