ベントレー・ミュルザンヌ (1980-1992)

ミュルザンヌ概要

ミュルザンヌは、1980年から1992年にかけてイギリスの自動車メーカー、ベントレーモーターズによって製造された高級車です。その名は、ル・マン24時間レースの歴史に深く根ざしており、特にそのストレート部分にちなんで名付けられたと言われています。ミュルザンヌは、ベントレーのレーシングカーとしての伝統を引き継いでおり、性能と贅沢なデザインを兼ね備えたモデルです。

製造期間中、ミュルザンヌは、コンチネンタルTやアズールといった派生モデルも展開され、2000年代まで販売され続けました。

エンジン仕様

この高級車は、6.75リットルのV型8気筒エンジンを搭載しています。エンジンはロールス・ロイス製で、アルミニウム合金で作られたシリンダーヘッドを持ちます。1996年からは、2つのSUキャブレターがボッシュ製の燃料噴射システムに置き換えられる改良が行われ、トランスミッションは3速のオートマチックトランスミッションが採用されました。

ミュルザンヌ・ターボ

1982年には、ミュルザンヌ・ターボが登場しました。このモデルは、ギャレット・エアリサーチ製のターボチャージャーを搭載することで、エンジン出力が50%向上しました。そして、インテリアには高級なウォルナット材、革、ウールカーペットを使用しており、豪華さと快適さを両立させています。製造された台数は498台のショートホイールベース版とわずか18台のロングホイールベース版です。

また、ミュルザンヌ・ターボは、007シリーズに登場したこともあり、ブリティッシュレーシンググリーンで武装されたこのモデルは、特にジョン・ガードナーによる『不死身な奴はいない』や『独立戦争ゲーム』に見られました。

ミュルザンヌ・S

1987年、旧モデルの改良版としてミュルザンヌ・Sが発表されました。このモデルは、ターボチャージャーを持たず、デザインや構造はターボRを彷彿とさせます。今回もアルミニウムホイールや高級インテリアが採用され、スポーツテイストのサスペンションが施されました。ヘッドライトが丸型4灯に変更され、外観の印象も一新されています。ミュルザンヌ・Sは1992年まで製造されました。

その他の情報

ミュルザンヌは、同時期に発売されていたロールス・ロイス・シルヴァースピリットやシルヴァースパーの兄弟車としても知られています。ベントレー・アルナージが登場する1998年まで、全てのベントレー車の基盤モデルとしての役割を果たしました。

生産台数

ミュルザンヌの生産台数は多岐にわたりますが、その独特の魅力とベントレーの伝統を受け継いだデザインにより、多くの愛好者を魅了してきました。特に、これらのモデルは、クラシックカーとしての価値を持ち、今でも多くの支持を得ています。

参考文献

ベントレーモーターズの公式ウェブサイト

これまでの自動車史に輝かしい足跡を残しているミュルザンヌは、その精巧な作りと豪華な装飾により、高級車市場において欠かせない存在です。

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