ベントレー・EXP 9 F

ベントレーEXP 9 F：ベンテイガ誕生の原点

2012年、ジュネーブモーターショーの会場で、来場者たちを魅了したコンセプトカーがありました。それが、ベントレーEXP 9 Fです。このモデルは、後にベントレーのSUVとして世界的な成功を収めるベンテイガの原型とも言うべき存在。その名は、Experimental（実験的）とFalcon（ハヤブサ）を組み合わせたもの。まさに、革新的な試みと、力強い姿を象徴するネーミングと言えるでしょう。

伝統と革新の融合：デザインと性能

EXP 9 Fのデザインは、ベントレーのデザイン部門が担当。Dirk van Breackelの手によって、伝統的なベントレーの要素と、未来を見据えた斬新なスタイルが融合しました。特徴的なマッスルグリルや、丸型2灯ヘッドライトは、往年の名車ミュルザンヌを彷彿とさせます。一方、23インチの大径ホイールは、力強さと存在感を際立たせています。

インテリアは、厳選されたウッドパネルと上質なレザーで贅沢に仕立てられています。後部座席のラゲッジスペースには、グラスやカトラリーなどが入ったピクニックセットが備え付けられており、優雅なドライブを演出する細やかな配慮が感じられます。パワートレインには、6.0L W型12気筒ツインターボエンジンを搭載。圧倒的なパワーと滑らかな走りを両立しています。

プラットフォームと市販化

EXP 9 Fのベースとなっているのは、フォルクスワーゲングループのPL71プラットフォームです。このプラットフォームは、ポルシェ・カイエン、アウディQ7、フォルクスワーゲン・トゥアレグなど、他のSUVモデルにも採用されている実績のあるものです。このプラットフォームを採用することで、高い走行性能と信頼性を確保しています。

EXP 9 Fは、単なるコンセプトカーとして終わることはありませんでした。2013年には、このコンセプトカーを基に開発された市販モデル、ベンテイガが発表され、生産が開始されました。EXP 9 Fは、ラグジュアリーSUVという新たな市場を開拓する上で、大きな役割を果たしたと言えるでしょう。

ベントレーの伝統と未来

EXP 9 Fは、ベントレーというブランドの伝統を継承しながら、未来への挑戦を体現したモデルです。そのデザイン、性能、そしてラグジュアリーな空間は、多くの自動車愛好家を魅了し、ベンテイガの成功へとつながる重要な一歩となりました。EXP 9 Fは、単なるコンセプトカーではなく、ベントレーの歴史において重要なマイルストーンとして記憶されています。その存在は、ブランドの伝統と革新性を象徴し、今後のベントレーの歩みにも大きな影響を与え続けるでしょう。

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