ベンハイ川

ベンハイ川：ベトナムを分断した歴史の川

ベンハイ川（ベトナム語: Sông Bến Hải）は、ベトナム中部のクアンチ省を流れる全長約100kmの河川です。アンナン山脈を源流とし、北緯17度線付近を東へ流れ、南シナ海に注ぎます。川幅は最大で約200mに達し、河口部はヴィンリン県とゾーリン県の境界を形成しています。

歴史的な役割

ベンハイ川は、ベトナムの歴史において重要な役割を果たしました。1954年のジュネーブ協定により、北緯17度線が北ベトナムと南ベトナムの軍事境界線と定められた際、この川がほぼその線上を流れていたため、事実上の国境となりました。

この軍事境界線の周辺には、非武装中立地帯（DMZ）が設置されました。DMZはおおむねベンハイ川を中心とする幅約4kmの地域で、この川がその中心的な存在であったと言えます。この時代、ベンハイ川はベトナムを南北に分断する象徴的な存在であり、その歴史的背景から多くの人々に知られています。

ヒエンルオン橋

ベンハイ川には、ヒエンルオン橋（Cầu Hiền Lương）という橋が架かっています。この橋は、当時、北側が赤色、南側が黄色に塗り分けられていました。これは、南北ベトナムの政治的な対立を象徴するものでした。現在、この橋は歴史的な遺産として保存されており、多くの観光客が訪れています。

ベンハイ川は、その美しい景観とともに、ベトナムの複雑な歴史を物語る場所として、今後も語り継がれていくでしょう。

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