ベールヴァルデ条約

ベールヴァルデ条約について

ベールヴァルデ条約（またはベールヴァルデ協定）は、1631年1月23日にフランスとスウェーデンの間で結ばれた軍事同盟です。この条約は、三十年戦争においてスウェーデンが介入したことを受け、フランスがその支援を行うために締結されました。具体的には、フランスがスウェーデンに対して軍事資金を提供する内容となっていました。また、この同盟には当時のフランスの有力政治家であるリシュリューの戦略も影響していました。

条約の内容

ベールヴァルデ条約の主要な規定には、以下のような内容が含まれています。

1. 常備軍の編成: フランスの資金を用いてスウェーデンは歩兵と騎兵を常備することが求められました。
2. 資金援助: フランスは、スウェーデンに帝国通貨での資金援助を行うことが定められています。
3. 信仰の保障: スウェーデンは神聖ローマ帝国内のカトリック信仰を保障する義務を負いました。
4. 攻撃の禁止: スウェーデンは、フランスの同盟国であるバイエルン選帝侯に対して攻撃を行わないことが約束されました。
5. 同盟の維持: フランスとスウェーデンは、5年間単独同盟や単独講和を結ばないことが合意されました。

リシュリューは、スウェーデンの軍事力に注目し、ハプスブルク家に対抗するための同盟を築こうとしましたが、同時にカトリック国家がプロテスタント国家と同盟を結ぶことには、カトリック教会からの反発がありました。

結果と影響

スウェーデンの国王グスタフ・アドルフは、この条約を利用してプロテスタント諸侯に同盟を呼びかけましたが、初めはこれといった反応は得られませんでした。しかし、1630年から1631年にかけてのマクデブルクの戦いで、皇帝軍による略奪や虐殺が発生し、北ドイツのプロテスタント諸侯は次第にスウェーデンに同盟を結ぶようになりました。

フランスはこの同盟を通じて、5年間にわたりスウェーデンを支援し続けました。その結果、スウェーデン軍は戦いを維持する資金をほぼ国外からの支援で調達し、これはスウェーデンの勝利にも寄与しました。グスタフ・アドルフは、この状況を「戦争が戦争を育む」と表現しました。

1634年以降、戦況が皇帝側に傾く中、フランスとスウェーデンはさらなる同盟更新を行い、これによってフランスは三十年戦争に本格的に介入することになりました。この時、フランスはスペインに対して宣戦布告し、1659年まで続くフランス・スペイン戦争に突入します。

この期間、スウェーデン軍は皇帝軍と戦い続け、フランスとの連携が戦争の結果に寄与したものの、時には両国の間での不和も見られました。しかし、最終的には1648年のヴェストファーレン条約によって三十年戦争は大勝利を収め、スウェーデンはこれをあらゆる利益を享受しました。ただし、この同盟政策は後にスウェーデンの外交政策に悪影響を及ぼすこととなり、1670年代にかけてフランスに翻弄され続ける結果となってしまいました。

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