ペイリーパーク

ペイリー・パーク：ニューヨークのオアシス

ペイリー・パークは、ニューヨーク近代美術館のすぐそば、高層ビルが立ち並ぶ場所にひっそりと佇む、わずか13メートル×30メートルの小さな公園です。都会の喧騒を忘れさせてくれる、特別な空間がそこにはあります。

概要

1967年に開園したペイリー・パークは、当時のCBS会長ウィリアム・S・ペイリーによって私設公園として建設されました。場所は、かつてストーク・クラブがあった場所で、53丁目沿いの5番街から少し東に入ったところに位置しています。

ランドスケープアーキテクトのロバート・ザイオンが設計を手掛け、現在はウィリアム・ペイリー財団が管理・運営を行っています。公園の奥には、高さ約6メートルの人工滝があり、その水の音が周囲の騒音を遮断し、訪れる人をやすらぎの世界へと誘います。中央には17本のアカシアが植えられ、両側のレンガ壁にはツタが絡まり、自然な雰囲気を醸し出しています。朝9時から開園し、公園内のキオスクでコーヒーを片手に、白い丸テーブルや椅子で談笑する人々で賑わっています。ペイリー・パークの成功を受け、同様のコンセプトを持つ小規模な公園が全米各地に造られるようになりました。

特徴

ペイリー・パークは、マンハッタンの喧騒から逃れられる、静かで豊かな空間を提供することを目指しています。かつてナイトクラブがあった場所を再利用し、滝、緑、石畳などを配置することで、都会の中の隠れ家のような空間を作り出しています。

高さ約12メートルの滝は、公園のシンボル的な存在です。ツタが絡まる壁に囲まれ、垂直に流れ落ちる水は、周囲の騒音を打ち消し、静寂をもたらします。ニュートラルグレーと白を基調としたデザインは、葉の緑と水の流れを際立たせ、洗練された印象を与えます。滝の音は、都会の喧騒を忘れさせ、訪れる人に安らぎと静けさをもたらします。

都市計画への影響

ペイリー・パークの成功は、都市における小規模公園の重要性を示すものでした。1963年には、ニューヨーク市の公園協会が、都心部における小公園の必要性を訴える展覧会を開催し、ランドスケープアーキテクトのロバート・ザイオンらが小公園についての斬新なアイデアを提示しました。

しかし、当初は、駐車場を確保したい交通関係当局者や、公園の管理には一定規模の面積が必要だと考える行政官からの反対もありました。ニューヨーク・タイムズは、都市公園には最小面積が必要だという考え方を批判し、ペイリー・パークの成功を例に、小規模公園の重要性を訴えました。

ペイリー・パークは、市民の努力と民間団体の支援によって実現しました。その後、同様のコンセプトを持つグリーンエイカー・パークが誕生するなど、ペイリー・パークは都市計画に大きな影響を与えました。

空間演出の工夫

ペイリー・パークの設計を手掛けたザイオンは、狭い空間を広く見せるために、様々な工夫を凝らしました。敷石を小さくしたり、滝を白濁させたり、葉の小さな樹木を選んだりすることで、視覚的な錯覚を生み出し、実際よりも広々とした印象を与えるように設計されています。

まとめ

ペイリー・パークは、ニューヨークの喧騒の中に現れる、都会のオアシスです。滝の音、緑、そして心地よい空間が、訪れる人に安らぎを与えます。ペイリー・パークは、都市における小規模公園の可能性を示し、その後の都市計画に大きな影響を与えました。

参考文献

斉藤 裕 , 鈴木 隆行 , 本多 友常 [他]『近代ランドスケープの遺産-ラス・アルボレダス, 京王プラザホテル4号街路外構, 森の火葬場,ペイリーパーク, ブリオン家墓地, カルフォルニア・シナリオ, インゼル・ホンブロイヒ, タナー・ファウンテン, アンドレ・シトロエン公園』SD (405), 105-124, 1998年6月号
世界の建築街並みガイド6 アメリカ/カナダ/メキシコ , エクスナレッジ, 2004, ISBN 978-4767803630

外部リンク

Feature by PublicSpaces.org
Pictures

もう一度検索