ペシュト

ペシュトは、ハンガリーの中央部に位置する都市で、ドナウ川の右岸（東岸）に広がっています。対岸にはブダがあり、この二つの都市は互いに補完し合いながら発展してきました。歴史的には、ドイツ語でペスト（Pesth）とも呼ばれていました。

ローマ帝国時代には、属州パンノニアの一部として、コントラ・アクインクムという都市が建設されました。これは、ブダの北部にあったアクインクムがパンノニアの中心であった時代の出来事です。中世に入ると、ペシュトは王国自由[[都市]]として発展を遂げました。対岸のブダが軍事・政治的な要衝であったのに対し、ペシュトは商業や経済活動の中心地としての役割を担っていました。

18世紀中頃になると、ハプスブルク君主国（オーストリア）の支配が安定し、ペシュトの重要性が増大しました。ブダが丘の上に位置しているのに対し、ペシュトは平野部に位置していたため、都市の拡大が容易だったことがその理由の一つです。1848年の革命の際には、ポジョニ（現在のブラチスラヴァ）からペシュトに首都が移され、この頃にはブダとペシュトは「ペシュト＝ブダ」として一体的に認識されるようになりました。しかし、19世紀頃まで、ドナウ川の氾濫により、ペシュトの街はしばしば水没するという問題も抱えていました。

1873年11月17日、ブダ、ペシュト、そしてブダ北部の町オーブダが合併し、新たな都市ブダペストが誕生しました。この合併により、ペシュトはブダペストの一部となりましたが、現在でもハンガリーでは、ブダペスト全体を指して「ペシュト」と呼ぶことが多くあります。対照的に、「ブダ」という言葉は、ブダペストのドナウ川左岸部分のみを指すことが多いです。

ペシュトは、その歴史的な経緯から、経済の中心地としての役割を担い続け、ブダペストの発展に大きく貢献してきました。その名は、現代においてもブダペストを語る上で欠かせない存在です。

関連事項
* ペシュト県

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