ペドロ・デ・カスティーリャ (1290-1319)

ペドロ・デ・カスティーリャ：激動の時代を生きたカメロス領主

ペドロ・デ・カスティーリャ（1290年 - 1319年）は、カスティーリャ王サンチョ4世とマリア・デ・モリナの息子として生まれました。彼はカメロス、アルマサン、ベルランガなどの領主であり、兄フェルナンド4世の執事長を務め、さらに甥アルフォンソ11世が幼少の間、母マリア・デ・モリナ、叔父フアンと共にカスティーリャ王国の摂政という重責を担いました。

生涯

ペドロはアラゴン王ハイメ2世の娘マリアと結婚しました。しかし、唯一の娘ブランカはペドロの死後に誕生し、ポルトガル王ペドロ1世との婚約は実現しませんでした。

1313年、パラスエロにおいてペドロ、母マリア、叔父フアンによる摂政体制が確立しました。これは1315年のブルゴス国会で正式に承認され、ペドロは母マリアを支え、叔父フアンと対立しながらも、摂政としての責務を果たしました。

1316年、ペドロはグラナダ王国との国境へ軍を率いて遠征します。キリスト教側の記録によれば、野戦では勝利を収めたものの、城の包囲戦では苦戦したとされています。一方、ムスリム側の記録にはペドロの勝利に関する記述は見当たりません。1317年には再びグラナダへ侵攻、ジブラルタル包囲を解放し、ベルメス・デ・ラ・モラレダの城を占領しました。

1319年、教皇からグラナダに対する十字軍遠征の許可を得たペドロは、叔父フアンと共にティスカル要塞を包囲するため出陣します。しかし、軍を分割したことが裏目に出て、ムスリム側の伏兵に襲われました。この戦いでペドロとフアンは命を落としました。この敗戦は「ベガ・デ・グラナダの惨事」として知られています。

子女

ブランカ（1319年 - 1375年）：ポルトガル王ペドロ1世と婚約しましたが、後に解消。サンタ・マリア・デ・ラス・ウエルガス王立修道院長を務めました。

ペドロ・デ・カスティーリャは、激動の時代に翻弄されながらも、カメロス領主、そしてカスティーリャ王国の摂政として、その生涯を駆け抜けました。彼の人生は、中世スペインの政治情勢、キリスト教国とイスラム教国の対立、そして家族間の権力闘争を色濃く反映しています。

参考文献
Agrait, Nicolás (1998). “The Reconquest During the Reign of Alfonso XI”. In Donald J. Kagay; Therese M. Vann. On the Social Origins of Medieval Institutions: Essays in Honor of Joseph F. O'Callaghan. Leiden: Brill 
* Pepin, Paulette Lynn (2016). María de Molina, Queen and Regent: Life and Rule in Castile-León, 1259–1321. Lexington Books 

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