ペナルティ・パパ

2005年に製作された映画『ペナルティ・パパ』（原題：Kicking & Screaming）は、人気コメディアンのウィル・フェレルが主演を務めたスポーツコメディです。コメディ界で数々のヒット作を手がけるプロデューサー、ジャド・アパトーが製作を担当し、フェレルとのタッグが実現しました。ジェシー・ディランが監督を務めています。

物語の主人公は、運動が全く苦手で冴えない日々を送る男性、フィル・ウェストン（ウィル・フェレル）。彼は厳格で体育会系の父親、バック・ウェストン（アカデミー賞俳優のロバート・デュヴァル）のもとで育ちましたが、父とは正反対のタイプでした。学生時代に挑戦したスポーツはどれも上手くいかず、その影響か、大人になった彼の息子、サムもまた運動が苦手でした。

息子のサムは、父バックが率いる地区でも名を知られた強豪少年サッカーチーム「グラディエーター」から、見るも無残なほど弱いチーム「タイガース」へ移籍してしまいます。タイガースは、まともにボールを蹴れる選手さえいないという壊滅的な状況。バックは息子のチームの惨状を嘲笑し、フィルにも事あるごとに嫌味を投げかけます。そんな父からの挑発もあり、フィルは成り行きでこの弱小タイガースの監督を引き受けることになります。

監督になったフィルは、チームを立て直そうと奮闘しますが、練習を始めても一向に改善の兆しが見えません。業を煮やしたフィルは、テコ入れとして伝説的な元フットボール選手であるマイク・ディッカ本人をコーチとして招へいします。さらに、肉屋の親戚である才能あふれるイタリア人の兄弟二人をチームに引き入れ、戦力アップを図ります。

ディッカの情熱的で過激な指導に影響を受けたフィルは、次第に自身も変貌していきます。大量のコーヒーを飲むことでハイになり、勝利のためなら手段を選ばないスパルタ監督へと豹変。妻のバーバラ（ケイト・ウォルシュ）が心配するほど、彼の指導はエスカレートしていきます。チームはディッカとイタリア人兄弟の活躍もあり、少しずつ力をつけ、勝利を重ねていきます。

そしてついに、タイガースは快進撃の末、決勝戦進出を果たします。決勝の相手は、因縁の相手である父バックが率いる強豪グラディエーターでした。フィルにとっては、父を見返すための、そして自身が運動音痴であることを乗り越えるための、特別な一戦となります。

白熱した決勝戦の最中、勝利への過度な執着にとらわれていたフィルは、ふと大切なことに気づきます。それは、子供たちの成長や楽しむことこそが重要であり、「勝利」だけが全てではないということでした。彼はそれまでの考えを改め、選手たちに「これまでの指示とは逆のことをしろ」と大胆な指示を出します。物語は、単なる勝利ではなく、親子やチームメイトとの関係性、そしてスポーツを通じて本当に大切なものは何かを問い直す形でクライマックスを迎えます。

脇を固めるキャストには、主人公を追い詰める父親役のロバート・デュヴァル、理解ある妻役のケイト・ウォルシュに加え、元NFL選手のマイク・ディッカが本人役で出演しています。

日本では劇場公開されず、DVDでリリースされた作品です。

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