ペルシアのヤコボス

聖ヤコボス・インテルキスス

聖ヤコボス・インテルキスス（またはペルシアのヤコボス）は、5世紀初頭のペルシアで殉教したキリスト教徒であり、正教会、非カルケドン派、カトリック教会で聖人として崇敬されています。彼の記憶日は11月27日です。

「インテルキスス」とはラテン語で「切り刻まれた者」を意味し、彼の受難の様子を表しています。

歴史的背景

ヤコボスが生きた時代は、サーサーン朝ペルシア帝国でした。彼は、ヤズデギルド1世（399年 - 420年）の家臣として仕えていました。ヤズデギルド1世の死後、息子のバフラーム5世（420年 - 438年/440年）の治世下でキリスト教徒への迫害が始まりました。ヤコボスは、この迫害によって殉教しました。同じくバフラーム5世の迫害によって殉教した聖人として、聖マハーサポルが知られています。

聖人伝

ヤコボスは、ペルシアの首都ベート・ラパトでキリスト教徒の貴族の家に生まれました。彼はペルシア王に重用されていましたが、王への忠誠心から非キリスト教の神々を崇拝したため、母と妻から絶縁されてしまいます。このことで、ヤコボスは神から遠ざかってしまったことを深く後悔しました。

ある日、ペルシア王からキリスト教徒であるかどうかを問いただされ、脅された際、ヤコボスは自らの信仰を告白し、それを捨てることを拒否しました。これに激怒した王は、他のキリスト教徒への見せしめとして、ヤコボスを拷問にかけ処刑することを決定しました。

ヤコボスは、刑吏によって体を切り刻まれるという残酷な拷問を受けました。しかし、彼は体が切り落とされるたびに神を賛美し続けました。両手足の指、両足、両手、両腕、両腿の28箇所を切断された後、最終的に斬首され殉教しました。キリスト教徒たちはヤコボスの遺体を盗み出し、手厚く埋葬しました。

聖遺物

ヤコボスの頭蓋骨は、1103年にフランスのトゥール司教区に運ばれ、その後1440年頃にバチカンに移されたと伝えられています。彼の聖遺物は、今日でも多くの信者によって崇敬されています。

聖ヤコボス・インテルキススの生涯は、信仰の強さと、いかなる苦難にも屈しない勇気の象徴として、後世に語り継がれています。

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