ホスピタルラジオ

ホスピタルラジオの概要

ホスピタルラジオ（病院ラジオ）は、主にイギリスで展開されているボランティア活動で、病院内または近隣に小規模な放送スタジオを設置し、患者向けの音楽やニュースなどのプログラムを提供しています。この活動は、1926年に始まり、全盛期には300を超える局が運営されていましたが、2022年現在でホスピタルラジオ連盟（HBA）に登録されている局は約170に減少しています。

放送局の形態は多様で、週末の夕方のみ放送する局、毎日特定の時間だけ放送する局、さらには24時間体制で運営している局もあります。日本においては、藤田医科大学病院が2019年12月からインターネットを使用したホスピタルラジオ「フジタイム」を始めており、これが日本初のホスピタルラジオとされています。

歴史

ホスピタルラジオの起源は、1922年に英国放送協会（BBC）が開局し、電波放送への関心が高まったことに始まり、1926年にイギリスのヨーク郡で最初の局が設立されたとされています。この取り組みは、入院中の患者にサッカーの試合結果や教会の礼拝の情報を提供することを目的としていました。その後、この活動はイギリス全土に広がりますが、第二次世界大戦中に電波の管理が厳しくなるため、戦後に入ってからの本格的な発展を迎えます。

1992年にはホスピタルラジオ連盟が設立され、その運営を支援する体制が確立されました。従来の物理的接続から、2000年代には病院内のWi-Fiシステムを利用した放送が普及し、患者が選択できるチャンネルの一つとして認知されるようになりました。2016年の調査によると、29局が低出力のAM波で、5局が低出力のFM波で放送しており、その他の局は有線またはWi-Fiを利用して放送しています。ほとんどの局は、コンピュータを使ったシステムの導入が進んでおり、24時間放送を行う局も多数存在します。

効果

HBAの2016年の調査データによると、ホスピタルラジオは患者の退屈を和らげたり、コミュニケーションを通じて孤独感を軽減したりする効果があるとされています。また、患者が一人の人間として扱われることによる幸福感が、地域でのフィードバックとしても得られています。名古屋大学の小川明子氏は、『放送レポート』の中で、入院中の患者が自身の意見をラジオパーソナリティに伝えることで得られる満足感について紹介しています。

また、ホスピタルラジオは若者たちのラジオDJとしてのスキルアップにも寄与しており、自由度の高い放送体験が提供されています。このように、ホスピタルラジオは患者や運営者の双方にとって貴重な存在として成長を続けています。

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