ホセ・マルティ

ホセ・フリアン・マルティ・ペレス

ホセ・フリアン・マルティ・ペレス（José Julián Martí Pérez、1853年1月28日 - 1895年5月19日）は、キューバの著名な著作家であり、革命家です。彼は19世紀後半のキューバ独立運動に深く関与し、キューバ史において英雄視される存在であるだけでなく、ラテンアメリカのモデルニスモ（現代主義）の先駆者としても称賛されています。

生涯

ホセ・マルティは1853年、スペイン領キューバのハバナで生まれました。彼の父マリアーノはスペイン移民で、母レオノールはキューバ出身の女性でした。幼少期にはバレンシアに一時移住した後、すぐにキューバに戻り、1865年には公立学校に入学。ここでウィットに富んだ詩人で独立思想家のラファエル・マリア・メンディベと出会い、多くの文学者や政治思想家と交流を持ちながら、独立運動の思想を深めていきました。

独立戦争の勃発後、マルティは風刺雑誌や自由な週刊誌の編集に参加し、独立を志す仲間たちと共に活動を始めました。しかし、1869年には反逆罪で逮捕され、懲役6年の刑を言い渡されるも、その後はキューバ南西部のピノス島へと送還されました。1871年にはスペインに移住し、そこで法律や文学、哲学を学びました。彼は「キューバに於ける政治犯刑務所」を出版し、独立に対する情熱を持ち続けました。

その後、フランスやメキシコにも渡ったマルティは、国際的な文学活動を展開。無名の存在から独立思想家としての立場を確立し、独立運動の意義を強調する作品を次々に発表しました。しかし、グアテマラでの教育職は彼を満足させず、1878年に故郷のキューバに戻ることを決意しました。再び祖国に戻ったものの、既に鎮圧されていた第一次独立戦争の歴史を背に、新たな独立への夢を抱いて再び活動を始めます。

再度亡命を余儀なくされたマルティは、ニューヨークを拠点とし、活動を続けました。妻カルメンの不満から別居した後、二人の子どもを置いて彼女はキューバに帰国。その後も知識人としての地位を築きましたが、彼の心の中には常にキューバへの思いがありました。1892年には革命党を設立し、さらなる革命への道に進みました。

1895年、マルティはキューバにおける独立闘争を本格化させるため、革命資金を集めるべくメキシコに向かいます。彼と同志たちは武器を密輸する計画を立てましたが、出航前に逮捕されるという波乱の展開も。しかし、助けられた後、ついに再び故郷の地を踏むことができました。キューバ各地での戦いの中で、彼は1895年5月19日、ドス・リオス付近で戦闘に臨み、命を落としました。

思想と文学

ホセ・マルティは生涯を通じて独立思想を掲げ、それを自身の作品に反映させました。彼の活動は文学だけにとどまらず、教育や政治においても多くの影響を与えました。スペインでの青春時代には、多くの戯曲を執筆しつつも、キューバ独立運動とは常に切り離せない存在でした。また、アメリカ主義が彼の根本的思想であり、その視線はラテンアメリカへの愛情を基にしていました。彼は『我らのアメリカ』において、アメリカ合衆国のラテンアメリカへの干渉を憂慮し、その主張は後のラテンアメリカにおける国々の動向に大きな影響を及ぼしました。

作品

マルティの著作には、小説『不運な友情』、詩集『イスマエリーヨ』『簡潔な詩集』『自由な詩集』、さらには戯曲や随筆・論文など多岐にわたる作品があります。彼の作品は早くからラテンアメリカ文学において重要な位置を占めています。

影響

彼の思想や革命活動は、後世の多くの思想家や革命家に影響を与えました。キューバでは彼に対する尊敬の念が強く、国家的なシンボルとして扱われています。また、彼の名を冠した空港や記念行事が行われ、今なお多くの人々に親しまれています。

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